2021 Fiscal Year Research-status Report
高性能酸化物電極における非メタン炭化水素の電気化学酸化反応特性の解明
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20K12244
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
波岡 知昭 中部大学, 工学部, 教授 (90376955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 真一 中部大学, 工学部, 教授 (60598473)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 酸化物燃料極 / ダブルペロブスカイト / 層状ペロブスカイト |
Outline of Annual Research Achievements |
ダブルペロブスカイト構造を有する酸化物電極材料Sr2FeMo0.8Nb0.2(以下SFMN)のさらなる高性能化を意図し,固相反応法にて作製する場合の最適条件の検討とその材料を用いたインピーダンス解析を行った.焼成温度は1000℃から1450℃の間で制御し,そのときのX線回折のスペクトルを観察した.焼成温度の高温化にともない,ピークが大きく,また半値幅が小さくなる傾向がみられた.ただし,いずれの温度でも不純物相のピークが検出され,不純物相のピークは焼成温度の上昇とともに大きくなった.不純物相は,還元操作を行うことで消失したが,1350℃焼成の場合のみ,別の不純物相が検出されるようになった.ただし,上記の条件で作製した対称セルのインピーダンスを測定したところ,不純物相の残る1350℃焼成の電極の分極抵抗がもっとも低い値を示した. 電極材料作製時の不純物相の生成を抑制するため,1000℃,および1200℃で5時間焼成(仮焼成)したものを1440℃で5時間焼成(本焼成)する方法を検討した.その結果,1000℃仮焼成・1440℃本焼成の組み合わせの場合,不純物ピーク高さを半減することができた. 層状ペロブスカイト構造を有する酸化物電極(PrBa)0.95(Fe0.9Nb0.1)2O5(以下PBFN)もSFMN同様に固相反応法の最適化とインピーダンス測定を行った.固相反応法の焼成温度は1200℃から1450℃で検討を行った.高温化に伴い不純物相が消滅し,また1440℃焼成の場合が最も半値幅が狭くなることがわかった.PBFNに関してはリートベルト解析を行い,構造パラメータを得た.酸化雰囲気で安定であったPBFNであるが,1350℃で作製したPBFNを還元したところ,PBFNは容易に分解することがわかった.ただし,こちらの場合も1350℃焼成を行った電極の分極抵抗が最も低い値を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度,および2021年度前半の検討により,研究提案の際に参考にした論文の信頼性が低いことがわかり,研究計画を見直し,提案した両材料の調製条件の再検討を行った.その結果,現状までの最適化により分極抵抗を1桁以上下げることが可能となった.まだ調製条件の最適化には改良の余地があり,もう少し追求したいと考えている. コロナ禍の影響は解消されず,2020年以前の研究ペースの8割程度の進捗速度となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度末に立て直した研究計画に対し,3ヶ月程度の進捗遅れがあるが,性能改善の成果は現れており,遅くとも7月までには材料調製条件の最適化は完了させる. その後,水素・メタン混合ガス,および水素・トルエン混合ガスによるインピーダンス測定を行い,単価水素混入の影響,および炭化水素種の違いがインピーダンスや電極の微細構造に及ぼす影響をSEMにより観察・評価する.
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