2020 Fiscal Year Research-status Report
Biologically upgrading of biogas generated from anaerobic digestion
Project/Area Number |
20K12245
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
古崎 康哲 大阪工業大学, 工学部, 教授 (90454553)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | メタネーション / 水素 / 嫌気性消化 / マイクロバブル / 下水汚泥 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、メタネーションの基本性能および気体溶解方式の効果を検証した。液容量5.5Lの円筒形リアクターを2槽用意し、対照系は粗大気泡であるガス撹拌によるガス供給を、高溶解系ではエジェクター方式のマイクロバブルノズルを用いたガス供給(マイクロバブル系)を行った。基質であるガスは予備実験として水素と二酸化炭素=4:1とした混合ガスを使用し、メタネーション反応が行われていることを確認した。その後、下水汚泥由来の嫌気性消化ガスに水素を混合させた混合消化ガスを使用した。種汚泥は下水汚泥を基質として研究室内での半連続実験により培養した嫌気性消化汚泥を使用した。 対照系である粗大気泡によるガス撹拌によるバイオメタネーションにおいて、水素負荷0.5 L-H2/L-容積/dの条件で水素消費率は約90%、出口ガス濃度は約90%であり、嫌気性消化汚泥を種汚泥としたメタネーション反応が十分に進むことを確認することができた。一方のマイクロバブル系も同等の結果を得ることができた。次に水素負荷4.0 L-H2/L-容積/dの条件では、対照系が出口メタン濃度63%、水素消費率50%と低くなったのに対し、マイクロバブル系ではそれぞれ90%、95%と高い結果であった。このことは、マイクロバブルノズルを用いることで水素の溶解効率が向上し、基質ガス投入量が多い条件でも効率的なメタネーション反応が維持できたことを示している。このように本年度はメタネーションリアクタの小型化に資する手法を実証することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオメタネーション効率化の鍵は水素の効率的な溶解にあるとして研究を行っており、1年目である令和2年度はマイクロバブルノズルを用いた供給の効率化を示すことができた。溶解手法をエジェクター方式に絞って行い、ノズルとしての性能を評価するとともに、次年度に予定していた連続運転も行うことができた。連続運転では消化汚泥が種汚泥として利用可能であることを示し、下水処理場での実用化可能性を示すことができた。さらに、種汚泥とメタネーション後の菌叢について、次世代シーケンサによる解析も行った。 思うように進まなかった点として、エジェクター方式が汚泥による目詰まりが多く、実験を幾度となく中断せざるを得なかった。さらに高負荷での運転および長期間運転時の性能を検討したいと思っていたが、そのためにより運転期間を確保できなかった。予定していた噴霧方式は目詰まりが多く、詰まりにくいノズルは水滴が大きくなるなど、その選定に苦慮したため、本年度はリアクタ構築には至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
1年目では下水汚泥を基質とした嫌気性消化汚泥を種汚泥とした、嫌気性消化由来の消化ガスのバイオメタネーションが可能であることを示し、下水処理場と親和性の高い技術であることを示せた。また、水素の溶解を効率化させることで高負荷運転が可能であることを示すことができた。しかし、マイクロバブル生成装置は目詰まりが起こりやすく、汚泥の夾雑物を取り除いても目詰まりが起こり、実用化にはノズルの構造面での技術革新が必要であることがわかった。このことから2年目は、目詰まりが起こりにくい手法としてスプレー噴霧ノズルを使用し、それに適した装置構成を提案して効果を実証したいと考えている。噴霧ノズルを用いる場合、リアクタに占める気相部分が多くなり、微生物の保持に関わる液相部分を少なくせざるを得なくなる。そこで、水素資化メタン菌を高濃度に培養することでその欠点を補うことを検討する。高濃度に培養する手法として、濃縮する方法、馴致による方法などが考えられるが、文献調査を行って手法を整理してからアイデアを出すことを考えている。また、噴霧ノズルを用いる場合、既存の技術であるスクラバが参考になる。スクラバでは気液移動を促進させるために担体を用いることが多い。しかしメタネーションを実用化する場合、それよりもはるかに大きな処理量で行うため、担体の設置には様々な問題が起こる。そこで、担体をできるだけ使用しない方法を模索したいと考えている。そのためのリアクタ形状や噴霧ノズルの調査を十分に行いたいと考えている。それらを考慮したリアクタを作成し、1年目のマイクロバブル方式よりも高負荷での装置運転を達成したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
本年度はリアクタ作成が十分に行えなかったため、次年度のリアクタ作成に使用する。
|
Research Products
(3 results)