2022 Fiscal Year Annual Research Report
Environmental DNA biobanking: trans-kingdom parallel analysis of eDNA from fauna/flora to microbiota including pathogens
Project/Area Number |
20K12258
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
佐藤 行人 琉球大学, 医学部, 講師 (20566418)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 環境DNA / メタバーコーディング / 生物相 / 生態疫学 / 次世代シークエンサー / 細菌叢 / 環境生態 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は沖縄県の石垣島について分析を行い、成果を得た。同島で、過去にレプトスピラの発症報告があった宮良川、名蔵・白水川、荒川の滝を含む16カ所で採水を行い、Sterivexフィルターによる現地ろ過(平均381 mL)、環境DNAの抽出を行った。細菌およびレプトスピラ16S rRNA、動物mt-12S rRNA遺伝子の部分配列をPCR増幅して、次世代シークエンサーにより大量配列解析した。その結果、合計6種のレプトスピラ属細菌が検出され、うち2種は強病原性、4種は中病原性であった。名蔵・白水川中流域と島北部で強病原性種が検出された一方、宮良川ではレプトスピラの検出がほとんど無かった。その検出総数は、島北部の山沿いで有意に多い傾向が見られた。さらにレプトスピラと同時検出される動物を分析したところ、イノシシ Sus scrofa と Leptospira wolffii(中病原性種) の間に、有意ではないものの共起関係が認められた。以上から石垣島では、平野部と比べて山間部でレプトスピラ感染のリスクが高いこと、その感染源は人間生活圏の下水等ではなく、沖縄本島でも主要な保菌動物として知られる在来野生イノシシである可能性が示唆された。川や滝でのウォーターレジャーは石垣島をはじめ沖縄県の観光資源であるため、レプトスピラ症についての啓蒙や予防が求められる。また研究期間全体を通して、魚類や動物についても、在来のフナ類や多種のハゼ類、テナガエビ類、ニホンスッポンなどが検出された一方、ティラピアやグッピー、カダヤシなどの外来種も検出された。今後、これら在来種、希少種、外来種の生物多様性と人間活動負荷指標との関連について解析を進める。必要に応じてリプリケートの採水と実験・解析を加えて、国際誌へ投稿する論文の作成や、一般向け情報公開(論文ニュースリリース記事の大学HP掲載など)を進める予定である。
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