2022 Fiscal Year Annual Research Report
Ecology and conservation of wild chimpanzees focusing on their stone tool use behaviors in West Africa
Project/Area Number |
20K12264
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
大橋 岳 中部大学, 人間力創成教育院, 准教授 (40533592)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | チンパンジー / 西アフリカ / 石器使用 / 里山 / 保護区外 / リベリア / ギニア / 野生動物保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルス感染症の状況も比較的落ち着き、2022年8月から9月、および2023年2月から3月までの2回、西アフリカのリベリア共和国パラにおいて野生チンパンジーを対象にしたフィールドワークを実施することができた。コロナ禍でブランクはあったが、保護区外の里山での野生チンパンジー保全を考えるうえで重視してきた地域住民と関係は良好に維持することができている。人獣共通感染症を避けるべく、はじめて村に設置された井戸のメンテナンスをおこない、研究代表者が設置したトイレなども継続して利用されている。リベリア共和国パラにおいて地域住民から野生チンパンジーへの狩猟などはなかったようで、チンパンジーたちは以前よりも森林内で出会う人間に寛容で、直接観察できる体制が整ってきた。新たな石器使用地点を発見するとともに、およそ58キロメートルしか離れていないギニア共和国ボッソウとの採食品目の違いが、明らかになってきた。ギニア共和国ボッソウでの47年に及ぶ長期調査で、その動物や植物が存在するのに一度も食べたことのない品目を、リベリア共和国パラにおいて、そこにくらす野生チンパンジーが食べている。野生チンパンジーたちが何を食べ物と見なすか、同じ集団のメンバーから社会的に影響を受けて学んでいる可能性がある。昨年度より分析を進めてきた、リベリア共和国パラにおけるチンパンジーの板根への投石行動については、7月に開催された日本霊長類学会大会で報告した。
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