2021 Fiscal Year Research-status Report
低環境負荷を指向したメソ孔性ナノ炭素繊維を用いた水環境改善プロセス技術の開発
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20K12274
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
中川 清晴 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (50421409)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電気二重層吸着 / 希薄イオンの除去 / アニオン / メソ孔 / ナノ炭素繊維 / マリモナノカーボン |
Outline of Annual Research Achievements |
電気二重層吸着の原理を用いた希薄溶液中のイオン除去において、電極材のメソ孔性マリモナノカーボンの合成に用いる触媒調製について、昨年度の成果より酸化ダイヤモンド担体に担持するNiの担持量を5~15wt%で変えて合成することで細孔特性を制御できることがわかった。本年度は、加えて最も大きな細孔容積を持つことがわかった。本年度は、従来用いられているマイクロ孔性の電極材料では、希薄溶液中では細孔内で電気二重層(EDL)のうちの拡散層が重複することにより、良好なEDLが形成されず、希薄なアニオンの脱離が困難になることが報告されているため、希薄アニオンの吸脱着性能の評価を行った。Ni担持量15wt%で合成したマリモナノカーボンMNC-15は、平均細孔径20nmのメソ孔を多く持つ材料で、これを用いて1mMの希薄NaF, NaCl, Na2SO4, Na3PO4 水溶液を用いてイオンの吸脱着測定を行った。CV測定を行い、得られた曲線は、対称的な長方形の曲線が得られ、理想的なEDLが形成される場合に観測される結果が得られた。一方、比較試料であるマイクロ孔性材料では、アニオンの脱着が困難であり、対称的な長方形の曲線が得られず、良好なEDLが形成しなかった。 また、連続して希薄イオンの除去を行うため、流通法を用いて希薄Csイオン・Srイオンの除去を行ったところ、マイクロ孔性材料では吸着したイオンの脱離が行われず、一方、MNC-15では希薄イオンの吸脱着がスムーズに行われ、流通法でも有効性が示された。 これらの結果より、MNC-15は希薄溶液中で拡散層が重複しない良好なEDLを形成し、希薄アニオンの吸脱着性能の向上に寄与することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メソ孔性の大きなナノ炭素材料は、電気二重層吸着の電極に使用した際に、昨年度は希薄なカチオンに対して良好な電気二重層を形成したが、本年度は希薄なアニオン、Clイオン、FイオンSO4イオン、PO4イオンに対しても優れた性能を持つことがわかった。この結果は一般的に使用されているマイクロ孔性の電極材と比較しても高い電極性能を示すことがわかった。また、流通法によるイオン除去試験においてもメソ孔性電極材はイオンの吸脱着が可能であることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
メソ孔性電極材は、希薄なアニオンの吸脱着および流通法による希薄イオンの除去に対して有効であることがわかった。 今後は、メソ孔性材料に官能基を導入してさらなる除去性性能の向上と流通法による各種イオンの除去を行う。 本研究の目的であるメソ孔性炭素材料の用途を拡げるため、並行して燃料電池の電極材料としての評価も行う。
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