2021 Fiscal Year Research-status Report
新規単離藻類Chlorococcum sp.を用いた高率バイオ燃料生産系の構築
Project/Area Number |
20K12276
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Research Institution | Hiroshima National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
大沼 みお 広島商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70594076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三角 修己 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (90583625)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 微細藻類 / 細胞増殖 / 油脂生産 / バイオディーゼル / Chlorococcum sp. / 海上培養 / 藻類バイオ燃料 / 次世代再生可能エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、当研究室で単離した油脂生産能・増殖能の高い緑藻Chlorococcum sp.を用い、微細藻類の油脂生産と細胞増殖を両立させ、藻類バイオ燃料生産の基礎的な体系構築が目的である。これまでに、試行によって大きな差が出ることなく、安定して細胞増殖と油脂高生産を両立する系を確立した。本年度は、開放大量培養系(100 L)および閉鎖海上培養系(10 L)の開発と、GC-MS用いた脂肪酸の定量法の開発を行った。 まず、20 Lの水槽を用いて、水量10 Lの開放系通気培養で、安定して油脂生産が誘導できる系を開発した。この培養で得られた細胞を、100 Lプール培養または海上培養を開始するときに用いた。次に、本校屋上に塩化ビニル樹脂を主の材質とする小型プール(容量約300 L)を利用した野外開放系培養プールを製作した。プールの下には、断熱材を敷いて地熱を防義、プールの周りに金属製のフレームを設置して、培養液に触れないように農業用の不織布で覆い、異物混入と換気による過度な温度上昇を防いだ。また、エアレーションポンプにより通気した。環境情報として、気温・培養液温度・明るさ(光合成光量子束密度)・細胞の濃度(OD750)を定期的に観測し、培地の蒸発分は適宜水道水を足した。10月(培養液温度23-36℃)、11月(培養液温度14-26℃)に開始した培養では、実験開始から約1ヶ月で細胞が約10-20倍増加し、BODIPYで油脂を染色したところ、全細胞中の約半分の細胞が油脂を高生産していた。海上培養系については、10 Lの閉鎖培養系を構築し、2週間後に約7倍に細胞が増加し、約9割の細胞で油脂を高生産していた。 微細藻類に共通する脂質合成誘導条件時において、油滴中の脂肪酸の不飽和化が亢進することをGC-MSによって確認した。また、不飽和化された脂肪酸をGC-MSにおいて定性・定量化する手法についても検討を行い、その分析方法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は申請時の最終目標である、5000 Lプールを用いた培養を可能にするために、容量約300 Lのプールを利用し、水量100 Lの野外開放系大量培養系を開発した。改良を重ねった結果、500 mLマリンフラスコを使用した培養には及ばないものの、高増殖、高油脂生産の状態替えられた。また、海上培養においても、前年度1 Lの系であったのに対し、10 L 閉鎖系通気培養系を開発した。 前年度から進めていたGC-MSによる脂肪酸の定量方法も確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究課題の最終目標である5000 Lプールを利用した1000 L開放系培養、海上培養においては100 L培養を可能にするため、スケールアップと改良を進める。また、Chlorococcum sp.を用いた油脂生産を実用化するために必要な、脂肪酸組成の定量や、沈降速度の測定などを行う。
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Research Products
(5 results)