2023 Fiscal Year Research-status Report
Impact analysis of toxic chemical management on economic efficiency
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20K12283
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤井 秀道 九州大学, 経済学研究院, 教授 (20731764)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 環境保全活動 / 株主資本コスト / 債券コスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、企業別及び毒性化学物質グループ別に毒性化学物質排出量の削減がどのような方法によって実施されているかを明らかにすることを目的としている。特に、多様な特性を持つ企業及び化学物質に対して、詳細かつ網羅的に排出量削減と経済パフォーマンスの関係性を明らかにするために、日本、米国、欧州を対象とした。 4年目の今年は、これまでに構築したデータベースを活用することで、研究活動を実施した。具体的には、企業の環境保全活動が株式市場及び債券市場でどのように評価されているかを研究の問いとして掲げ、分析を進めている。 米国で定められた希少性資源(クリティカルミネラル)の物質を対象に、Toxic release inventoryのデータを利用して、排出量の変化要因を分析した。変化要因を循環経済に向けた取り組み(リサイクル)と従来の一方通行型の経済活動に準じた取り組み(埋め立て処分)に明示的に分けた後で、それらの変化について電気自動車のバッテリー需要などを鑑みながら考察を進めた。これらの研究成果はLCA学会で報告を行っている。 加えて、情報の非対称性やプリンシパル・エージェント理論に基づいた形で、資本コストと環境保全活動の関係性を分析する研究枠組みを新たに導入し、経済理論に沿った形で分析を実施している。本研究成果は環境経営・環境経済学のトップジャーナルの一つであるCorporate Social Responsibility and Environmental Management誌に投稿し、現在査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国外の研究協力者との打ち合わせや現地調査については適宜オンラインミーティングを活用しながら取り組んでいる。構築したデータセットを活用して分析を進め、当初の予定に沿った形で論文の投稿・掲載を達成していることから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度では、企業の環境保全活動と資本コストの関係性及び、企業価値との関係性について引き続き研究を進め、これらの研究成果を査読付き論文として公表することを目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、学会参加や海外における現地調査を行う計画に遅れが生じたため、旅費や現地調査費用を始めとした予算執行を行うことが出来なかった。 これらの研究活動については、次年度以降に移動が行いやすい状況下で、学会参加や現地調査を行う予定である。
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