2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of survey method for ecosystem service needs to contribute policy improvement of Payments for forest Ecosystem Services (PES)
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20K12284
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
太田 貴大 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (30706619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児島 利治 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (90346057)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 環境支払 / 中山間 / 環境共生 / 森林経営管理 / 政策支持度 / 政策効果 / 郡川 / 世論調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、長崎県郡川流域の4つの町内会を対象に、郵送およびWEB形式での意識調査を実施した。この調査において、森林整備が生態系サービスに与える効果を定量的に提示する形の生態系サービスニーズ調査手法を適用した。政策の定量的な効果に即して生態系サービスに対するニーズを表明することで、都道府県が実施するような既存の森林環境税継続以降調査に比して、より明確な意見を把握することができる傾向があることが分かった。これは中立的な選択肢に偏りがちな通常の意向調査の結果に比べて、政策の方向性をより具体的に考えるために有用であると考えられる。 政策効果(生態系サービスの2時点間変化)を定性的あるいは定量的に示すことと、生態系サービスの変化に対する満足度の高低の傾向の関係性は、必ずしも一律でなく、生態系サービスごとに異なることが示唆された。 政策効果の定性的あるいは定量的な提示による、政策支持度の差異は見られなかったものの、政策参加の希望度については、一部の政策参加形態で差異が見られた。また、サンプル全体における希望度の絶対値は、「森林組合への依頼」および「国・県・市といった行政への依頼」が高かった。これらの政策実態に即した生態系サービスのニーズ表明が、政策支持度の表明をしやすくし、また、一部の政策参加の希望度にも影響を与えることは、森林環境税などの森林整備に関する公共的な政策の改善に資する重要な知見である。 また、研究機関全体を通じて、以下の成果を得た。複数の生態系サービスについて森林状態を反映させた形で定量的に推定する手法を開発した。また、森林整備に用いられる公的資金について、都道府県民一人当たりの納税額を概算する手法を開発した。今後は、本ニーズ調査手法を基に生態系サービスの受益者かつ支払者のニーズを、供給者側に伝達することで、政策への参画意図が変化するかどうかを検討する必要がある。
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