2020 Fiscal Year Research-status Report
An international comparative study on under-use problems in the commons in industrialized countries
Project/Area Number |
20K12285
|
Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
嶋田 大作 龍谷大学, 農学部, 准教授 (40527876)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | コモンズ / 新型コロナウイルス感染症 / ボランティア / 阿蘇 / 草原保全 / 入会林野 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究における研究課題の核心をなす学術的「問い」は、コモンズの市場適応度や法による規定が自然資源の過少利用にどのような影響を与えているのか、であった。この問いに対して、日本とノルウェーでのフィールドワークを通じてデータを収取し、国際比較を通じて明らかにすることが当初の計画であった。 しかしながら、COVID-19の世界的流行によって、海外でフィールドワークをすることはおろか、国内でのフィールドワークも難しい中、当初の研究計画通りに進めることは不可能であり、また、いつ終息するかわからないCOVID19の性格上、計画的に研究を遂行することは極めて困難であった。そのため、その時々の状況で実施できることを見つけ、そのことに対して最善を尽くすということしかできなかった。その結果を今振り返ってみると、以下の2点にまとめることができる。 1点目は、文献を通じて得られる情報を基に研究を進めることである。農学や環境経済学分野の基礎文献を読み込み、基本的な理論や研究手法についてより理解を深めることだけでなく、当該分野の情報誌などを含む幅広い文献資料の読み込みから、現場でどのようなことが起こっているのかなど、多岐にわたる情報の収集を行った。その成果の一部を以下の形で発表した。 環境経済・政策学会 2020年度大会、オンラインによる口頭発表、大野智彦・嶋田大作「コモンズ論とサード・セクター研究の接点を探る:環境ガバナンス論への貢献に着目して」 2点目は、より速報性が求められる課題に対して、実施可能な範囲でフィールドワークを実施するもので、その成果は以下の形で発表された。 竹内 亮・嶋田 大作「阿蘇における野焼き支援ボランティア事業は新型コロナウイルス感染症にいかに対応したのか―活動の継続要因に着目して―」『環境経済・政策研究』14 巻 (2021) 1 号
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」でも述べた通り、COVID-19の世界的流行により、当初計画していたノルウェーや日本でのフィールドワークは実施できなかった。その意味において「やや遅れている」と評価した。ただし、ただ単に停滞していたわけではなく、その時々の状況でできることを探し、最善を尽くしてきた。幅広い文献の読み込みや新たな視点での事例研究は、中長期的視点で見た場合に、この研究課題の遂行に深みと広がりをもたらすことが期待できる。従って、この遅れには前向きな側面もあることを申し添えたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
いつCOVID19が終息し、当初の予定通り国内外でのフィールドワークが実施できるのか、現時点では先が見通せないため、2020年度と同様に、その時々の状況で実施できることを見つけ、そのことに対して最善を尽くすということしかできないと考えられる。逆に言うと、コロナ以前に書いた申請書の研究計画に拘泥していては、2020年度の上記の2件の成果も得られなかったであろう。状況が大きく変わる中、申請書の研究計画を大前提としつつも、その時々にできる最善のことを見つけていく、そのような柔軟性を持たせることが現時点で考えられる推進方策と言える。
|
Causes of Carryover |
前述の通り、COVID-19の世界的流行によって、国内外で予定していたフィールドワークは延期もしくは大幅に形を変えて実施せざるを得なかった。そのため、本研究計画で主要な予算費目となっていたフィールドワークに関する予算の執行は次年度以降へと繰り越すこととなった。また、フィールドワークを実施するための機材の購入も次年度以降へと繰り越すことなった。さらに、当初予定していた国際会議や国内での学会発表も延期もしくはオンライン開催となったため、こちらの予算も繰り越すこととなった。 いつCOVID19が終息し、当初の予定通り国内外でのフィールドワークが実施できるのか、現時点では先が見通せない。しかしながら、本研究計画は4年の計画であり、場合によっては1年の延長も可能であるため5年とすることもでき、この研究期間の中には、フィールドワークが再開できる可能性が期待できる。申請書の研究計画を大前提としつつも、フィールドワークなど現時点で実施できない内容は実施ができるようになると直ぐに行動に移せるように準備を進めると共に、フィールドワーク以外でその時々にできる最善のことを見つけていく、そのような柔軟性を持たせることが現時点で考えられる使用計画である。
|