2020 Fiscal Year Research-status Report
高齢化社会における「ごみ分別・収集制度」の在り方に関する社会学的実証研究
Project/Area Number |
20K12305
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
篠木 幹子 中央大学, 総合政策学部, 教授 (20398332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 晃士 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (50305314)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高齢化社会 / ごみ分別制度 / 社会的ジレンマ / 高齢者支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化の加速は、既存の制度の崩壊をもたらす可能性が十分にありうると考えられる。そこで、本年度は政令指定都市に焦点をあて、全国の政令指定都市におけるごみ分別に関する高齢者支援のデータを収集し、現状を把握した。全国20の政令指定都市のうち、16の都市で「高齢者」を対象としたごみ出し支援を行っていることがわかった。ただし、単なる高齢者支援というよりは、高齢者、障がい者、要介護者などに対する支援というのが一般的である。また、多くの都市におけるごみ出し支援の制度の名称は「ふれあい支援」というように「ふれあい」という言葉が使用されている。これらの制度は、市が実施している場合もあれば、市の社会福祉協議会もあわせて類似の制度を持っている場合もある。20都市のうち、4都市では、要介護者および障がい者など、ごみを出すことが困難な人びとの支援はおこなっているが、明確に「高齢者」をうちだしているわけではないこともわかった。 政令指定都市の中でもたとえば仙台市の制度は、「地域ごみ出し支援活動促進事業奨励金」という名称となっている。各地域においてごみ出しを手伝う団体に対してその活動を支援・促進する事業であり、高齢者に限らず、地域においてごみ出しが困難な人を支援することを目的としている。第1段階としては、支援を行いたいと考えている団体が登録を行い、第2段階として支援対象者がいた場合、交付の申請を行うという2段階の制度となっている。団体として登録しても、支援者が存在しないという場合もありうる。逆に、ごみ出し困難世帯の人から問い合わせがあれば、ごみ出し支援をしている団体の紹介を仙台市が行うということも想定されている。このような間接支援型の制度の弱点は、なり手の団体が増えないと制度が成立しないという点であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来であれば本年度に複数の都市で聴き取り調査を実施する予定であった。しかし、感染症対策の観点から、対面での調査の実施や、実際に訪問して現状を把握することが困難であり、聴き取り調査については実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定は次の通りである。第1に、社会状況は大きく変化しないことが予想できるため、Zoom等を利用したオンラインによる聴き取り調査の可能性を探り、可能な自治体に対して調査を実施する。第2に、3年目に予定していた調査票調査の質問項目の検討および調査票の作成を先に行う。
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Causes of Carryover |
助成金を聴き取り調査のための旅費として想定していたが、感染症による社会状況の変化で、予定していた調査を実施することができなかった。
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Research Products
(1 results)