2020 Fiscal Year Research-status Report
Role of "Kifu" (Game record) in Gaming Simulation based Participative Decision Making
Project/Area Number |
20K12309
|
Research Institution | Chiba University of Commerce |
Principal Investigator |
小野 聡 千葉商科大学, 商経学部, 講師 (20724636)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊澤 輝一 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 准教授 (90464239)
木村 道徳 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 主任研究員 (90573923)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 住民参加 / ゲーミングシミュレーション / 棋譜 / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、研究課題として設定した(A)棋譜の設計・運用・分析を通じたディブリーフィング情報生産、(B)異なる条件においても適用可能な棋譜とゲームデザインの検討、および(C)棋譜手法の改良によるディブリーフィングへの効果測定のなかでも、(A)と本課題の前提となる部分について分析が進捗した。 小野・木村担当部分(課題(A))においては、「高島市まちづくり推進会議」が会期末を迎えたことを踏まえ、振り返りワークショップを行い、地域課題に対する認識を調査した。同時に、振り返りにあたっては棋譜と同様の発想によって設計されたワークシートを作成し、推進会議委員に配布することでいわば「感想戦」のような形式で振り返りをしてもらうことにより、ワークショップを通じて得られる共通認識について分析をした。この成果の発表は2021年度に実施する予定である。 小野・熊澤担当部分(本課題の前提となる分析)においては、ゲームが公共的意思決定に活用される社会における人々の認識について、重要な示唆を得た。関東および関西における1460名の調査協力者を対象にWebアンケート調査を行い、先端技術などを用いた情報の収集についての選好を分析した。その結果、多くの人々は先端技術によるリスク情報は、たとえ事態が切迫している状況下においても対話的であることを望んだ。このことは人工知能に対する信頼が、情報の双方向の処理によって積み上げられていくものであることを示唆しており、日常的なコミュニケーションにおけるゲームの活用可能性を示すものと考えられる。この旨の成果発表は2020年度から引き続き実施し、さらに棋譜分析のモデル開発についても2021年度にすすめることとする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ゲーム実験の実施を年度中に行うことができなかった。その一方で、ゲーム的な手法を取り入れたワークショップの実施によって棋譜的手法の効果を分析するためのデータを収集できたこと、既存の調査の解析を通じて本研究課題の根幹に関わる「ゲームの意義」に関して知見を得ることができたという点で、「遅れは小幅である」と自己評価をしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、(A)棋譜の設計・運用・分析を通じたディブリーフィング情報生産については、2020年度に実施した振り返りワークショップのなかで蓄積されたデータの分析を行う。これは棋譜の活用と情報生産に関わるという点で重要な課題である。また、(B)異なる条件においても適用可能な棋譜とゲームデザインの検討については、担当する研究分担者が復帰することに伴って始動をする。とりわけ2020年度中に研究フィールドにおける市民のネットワーク化が進んだことに伴い、その中におけるアクションリサーチを通じてゲームデザインの作業をすすめる。さらに(C)棋譜手法の改良によるディブリーフィングへの効果測定については、既存の棋譜の分析をすすめることでディブリーフィングに資する情報生産のあり方と、効果的な棋譜フォーマットに関する知見を得る。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国際学会への参加見合わせが生じたこと、および国内における調査出張なども生じなかったことから、移動が伴わない範囲での研究推進となった。 本課題の年度内での国際学会参加等のために、「次年度使用額」の執行を行う予定である。
|