2020 Fiscal Year Research-status Report
現代アメリカにおける革新的な都市開発とマイノリティへの差別の進展に関する研究
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20K12315
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
宮田 伊知郎 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (80451730)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 都市開発 / 人種主義 / 高速道路 / 公共交通機関 / アメリカ現代史 / アメリカ南部 / 郊外化 / ジェントリフィケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は編著である『現代アメリカ政治外交史――「アメリカの世紀」から「アメリカ第一主義」まで』(ミネルヴァ書房、2020年)を刊行した。編集作業とともに、ドナルド・トランプ大統領(内政パート)、ジョージ・W・ブッシュ大統領、ならびに戦後の内政をまとめた章の執筆を行った。これらの作業はおもに当該研究期間以前に行われたが、第二次世界大戦後から現在までの政治外交の動向についての知識は戦後都市政策の分析には不可欠であり、本研究の基礎をなしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度後期は長期研修期間であり研究に時間を充てることができた。しかし、2020年初期に顕在化したコロナ禍がおさまらず、当初予定していたアメリカ合衆国での現地調査の実施が不可能になり、研究計画の変更を余儀なくされた。現地でのアーカイヴ史料の渉猟ではなく、①関連二次文献の整理、ならびに②すでに保有している一次史料の整理のふたつを柱に研究を進めた。進捗の状況は以下の通りである。 二次文献に関しては、日米両国の都市研究、都市史研究関連文献を中心にあつめ、研究動向の把握に努めた。とくに人種マイノリティに対する関係をあきらかにした歴史研究を紐解き、20世紀終わりから21世紀にかけての都市開発と人種マイノリティの居住環境の関係に関する研究動向を整理した。日本の都市研究について学ぶことを通して、アメリカの開発政策を相対化しその独自性を理解するとともに、環境対策や歴史的価値の保全を目的とした都市開発のグローバルな展開状況に関する研究を知ることができた。 現代史に関する読み込みも行った。米国史の教科書作成に編著者として携わり、とりわけ21世紀における政治・社会の状況について読む機会を得た。70年代の不況が現代史において社会に与えた影響について知ることができた。 一次史料の読解については、入手済みのマイクロ新聞史料の読み込みを行った。都市開発関連のトピックに限定することなく、日常の生活模様に触れることを目的にフィルムをみていったが、全国ニュースの受容過程や、ローカルな情報に密着をすることで、あらためて都市生活における開発の重要性を確かめることができた。一次史料の渉猟ならびに整理のための努力も行った。一次史料に関しては、先方のアーキビストと連絡をとり、史料を郵送にて入手できる術を模索した。また、資料整理作業を進めるための機材を購入した。これにより地図作成、史料電子化のスピードが飛躍的に向上した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に欠かせないのは、現地調査である。しかし、依然として2021年度に調査を実施できるかどうかは未知数の状況にある。海外渡航が可能になり、状況が安定した時点で、アーカイヴ調査等現地にて行う調査を行い、繰り越した研究費の消化に努める。 研究調査が予定通りに進まない場合は、20年度と同様、一次史料、二次文献の入手・整理ならびに論文の執筆に従事する。現地に赴かずにできるだけ多くの一次史料を入手できるよう最善を尽くしたい。また、成果は適宜論文などのかたちで公表する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、当初予定していた現地調査が実施できなかった。今年度以降にできる限り現地調査を行うか、あるいは海外出張を伴わない資料入手策を考案し実行する。
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Research Products
(1 results)