2021 Fiscal Year Research-status Report
現代アメリカにおける革新的な都市開発とマイノリティへの差別の進展に関する研究
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20K12315
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
宮田 伊知郎 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (80451730)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アメリカ南部 / 都市開発 / 公共交通機関 / 環境運動 / 人種主義 / 新自由主義 / サンベルト |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍により研究調査が制約されるなか、次の3点の研究成果の公開を行った。まず、編著である『よくわかるアメリカの歴史」』(ミネルヴァ書房、2021年)を刊行した。このなかでは編集作業とともに、20世紀後半に係わる複数項目の執筆を試みた。担当した箇所はいわゆる「都市暴動」が全米で起こった時期から、新自由主義の勃興そして現在までをカバーする時代にあった。そのため、講読文献のおおくが現代都市史に関連しており、本研究プロジェクトと連動させつつ進めることができた。また、二次文献で得た知見を生かし、「社会経済学事典」の項目「アメリカの都市」を執筆、アメリカにおける都市の発展を概観した。さらに『歴史地理教育』に論文「終わらない9・11――同時多発テロから20年を迎えて」を寄稿した。「テロとの戦い」の言説が、アフリカ系やムスリム系アメリカ人への差別に展開していったかについて考察した本稿でも、都市内ですすむ様々な反人種主義の運動が対象に含まれており、本プロジェクトの文献読解で得た知見の公表につながった。 上記に加えて、新聞やこれまでアーカイヴで収集した文書データを初めとする一次史料の分析を行った。住宅・学校関連の二次文献の読解と整理においては、公表する段階には至っていないものの、適宜進めることを心がけた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度も20年度と同様コロナ禍のため、本研究プロジェクトの核心でもある現地調査を行うことができず、想定していた研究計画の遂行は叶わなかった。そうしたなか都市開発と差別の関係を明らかにするため、以下の3つのアプローチによりプロジェクトを遂行していった。それらは①(前年度と同様)これまでに入手した新聞史料の整理・読解・分析、②60年代のアトランタ都市圏における公共交通導入論の再検討③20世紀終わりにおけるアメリカ南部の農村の荒廃化がいかに都市の興隆や人種差別の展開と連動し進んだかを示す文献の翻訳作業である。これら軸とした研究をとおして論文等の執筆が進展し、さらに現地調査において追究すべき課題が明確化した。想定外のかたちではあったものの、研究がある程度前進したと認識をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍により渡米がかなわない状況においては、20年度、21年度と同様、研究室に所蔵している史料の読解を進めつつ、論文等の形で研究成果の公表に努める。調査が可能になり次第、アトランタ都市圏の資料館をもとにアーカイヴ史料の渉猟・分析を進め、その成果を論文や学会報告などにおいて積極的に発表してきたい。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの世界的な流行が長引き、海外出張がままならなくなった。本研究プロジェクトの予算計上の中心が旅費であったため、使用額がおおく残ってる。本年度、次年度において現地調査のキャッチアップを図るなどして、スムーズな予算執行に努めたい。
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Research Products
(3 results)