2022 Fiscal Year Research-status Report
現代アメリカにおける革新的な都市開発とマイノリティへの差別の進展に関する研究
Project/Area Number |
20K12315
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
宮田 伊知郎 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (80451730)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アメリカ南部 / 都市開発 / マイノリティ / 公共交通機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究調査は、実地調査、一次史料ならびに二次文献の分析・整理、そして研究成果の公表を中心に進められた。2022年9月に実地調査をジョージア州アトランタとノースカロライナ州ハムレットにて実施した。アトランタでは、フルトン郡公立図書館にて行政文書に関する調査に従事した。さらに、ノースカロライナ州ハムレットでは、都市化の裏で進展した農村部の「ゲットー化」の現状について、1991年に発生した食肉加工工場跡の記念碑等に関する分析を中心に調査を行った。 研究成果の公開に関しては、アメリカ学会の英文学会誌に" 'A Must for Atlanta's Future': Metropolitan Atlanta and the Rapid Transit Idea, 1963-65" を掲載した。「大きな政府」の象徴とも言え、低所得者層の交通手段としての役割を果たす公共交通機関の設置が、保守ジョージア州での都市のアトランタで実現した理由の一つを示した本論文は、「革新的」な開発を分析する本プロジェクトの基盤となる成果だと位置づけられよう。 資料整理に関しては、すでに入手済みの新聞史料や全国家事労働者組合の文書を読み進めた。とりわけ、革新的な都市開発の受益者と想定されたマイノリティがどのように公共交通機関の設置にかかわったのかについて調査を進めた。また、二次文献については、研究動向を適宜調べ、入手し、新潮流の把握に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症対策のための制約が多かったなか、夏に実地調査を実施し、かつケネソー州立大学やオーガスタ州立大学の研究者と会い、プロジェクトに関して意見交換できたのは前進であった。しかし、課題も浮き彫りになった。公共交通機関の設置等に関連する史料収集に進展があったものの、アフリカ系アメリカ人の新聞資料の調査のなかで必要性が明らかになった史料の踏査には、時間の制約のため、踏み込むことができなかった。一方、研究の公表においては、公共交通の導入に際しての論文を出すことにより、ある程度まとめることができたと言えよう。しかし、学会報告などでの成果の機会を得ることができず、成果公表が十分にできたといは言えない状況に甘んじたことも否めない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究機関全体としては、研究室に所蔵している新聞等の史料の読解を進め、さらに研究成果の報告の準備に従事する。一方で、史料の所在が明らかになっているアーカイヴへ積極的に赴き、必要な史料を入手、さらに分析を進め、成果の発表に努めていきたい。
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Causes of Carryover |
感染症の継続により、初年度に行えなかった研究調査を今年度も実施できず、他の課題と同時並行で研究を行っているため、予算消化に遅延が生じた部分がある。とりわけ遅れが生じている実地調査を積極的に進めるなどして、予算執行のキャッチアップを図りたい。
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Research Products
(1 results)