2021 Fiscal Year Research-status Report
ロヒンギャ避難民キャンプの脆弱性とレジリエンスに関する研究
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20K12317
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
日下部 尚徳 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 准教授 (60636976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉江 あい 名古屋大学, 高等研究院(環境学), 特任助教 (10786023)
大橋 正明 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (20257273)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ロヒンギャ / バングラデシュ / 難民 / 脆弱性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプの生活課題と、そこで難民が抱える脆弱性の構成要素を明らかにすることを目的としている。また、難民の生活を大きく左右する当該国政府や国際援助機関のポリシーが難民支援に与えた影響について分析することで、日本が積極的に取り組むロヒンギャ難民支援に寄与する政策的示唆も得たいと考えている。2021年度は、前年に引き続き新型コロナウイルス・パンデミック(以下、コロナ)によってバングラデシュへの渡航が制限されたことから、現地で支援にあたる二国間援助機関や国連、NGO関係者、現地の政府関係者・研究者、ジャーナリストによる講演会・研究会をオンラインで計6回開催した。ここでの議論から、関連国・国際援助機関の支援ポリシーがコロナ禍においてどのように変化していったのかを明らかにした。 また、バングラデシュの現地研究機関に委託する形で、ロヒンギャ難民キャンプおよび隣接するホストコミュニティにおいて、半構造的インタビュー調査および量的調査を実施した。調査内容は、難民キャンプ・ホストコミュニティ双方が直面する社会的課題と社会関係資本の変遷を明らかにしたうえで、それらが地域の脆弱性に与える影響を分析するものである。 半構造的インタビュー調査はキャンプに隣接するホストコミュニティにおいて対面で実施した(FGD含む)。対象選定にあたっては、女性や子ども、障がい者などの声を十分に反映させられるよう留意した。 量的調査に関しては、2カ村計100世帯を対象に実施した。本調査で得られたデータをもとに、次年度論文執筆および英文書籍の出版を目指す。 2021年度の公表実績としては、研究代表者および分担者が国際学会で研究発表を行ったほか、学術出版物での分担執筆や一般向け書籍でのロヒンギャ問題に関する解説を積極的に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、前年に引き続きコロナによってバングラデシュへの渡航が制限されたことから、本研究を構成するメンバー全員が現地調査を実施することができなかった。そのため、現地の調査機関に委託する形で、質的調査と量的調査を実施した。サンプリングに課題は残るものの、長年にわたり培った現地研究者とのネットワークを活用し、概ね順調に実施することができた。 また、研究分担者とともにバングラデシュにおける論文集の出版を進めているが、掲載論文の執筆は順調に進んでおり、より了解可能性の高い内容へと昇華できるよう、校正やベンガル語・日本語・英語間での翻訳作業を進めた。 以上のことから(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
関連国・国際援助機関の支援ポリシーの変遷に関する調査は、2020年度、2021年度同様、現地で支援にあたる二国間援助機関や国連、NGO関係者、現地の研究者・行政官を招いての講演会・研究会を通じて実施したいと考えている。また、コロナ禍において援助機関が発行した資料や現地の研究者による先行研究を精査し、コロナ前後における難民支援ポリシーの変化を描写・分析する作業を進めたい。 難民の抱える生活課題およびレジリエンスに関する調査は、現地渡航によるフィールドでの半構造的インタビュー調査を通じて、2021年度に実施した委託調査結果の裏付けをとるとともに、より了解可能性の高い論文への昇華を目指すための追加調査を検討する。 コロナの状況が悪化した場合には、2021年度同様、現地調査機関への委託調査実施も視野に入れて検討する。 また、研究成果を英文書籍として発表するための校正やベンガル語・日本語・英語間での翻訳作業を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で現地調査が実施できなったことから、研究代表者・分担者全員が現地に赴いての調査を実施することができなかった。2022年度は現地調査の実施とそれをもとにした論文執筆を予定している。それにともない、渡航および調査実施にかかる費用が必要となる。また、調査結果をもとに執筆する論文の校正・翻訳関連の費用が必要となる。
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Research Products
(11 results)