2022 Fiscal Year Research-status Report
ロヒンギャ避難民キャンプの脆弱性とレジリエンスに関する研究
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20K12317
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
日下部 尚徳 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 准教授 (60636976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉江 あい 京都大学, 文学研究科, 講師 (10786023)
大橋 正明 聖心女子大学, 現代教養学部, 非常勤講師 (20257273)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ロヒンギャ / バングラデシュ / 難民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプの生活課題と、そこで難民が抱える脆弱性の構成要素を明らかにすることを目的としている。また、難民の生活を大きく左右する当該国政府や国際援助機関のポリシーが難民支援に与えた影響について分析することで、日本が積極的に取り組むロヒンギャ難民支援に寄与する政策的示唆も得たいと考えている。2022年度はバングラデシュへの渡航が可能になったことから、代表者および分担者がそれぞれ現地調査を実施した。調査内容は、難民キャンプ・ホストコミュニティ双方が直面する社会的課題と社会関係資本の変遷を明らかにしたうえで、それらが地域の脆弱性に与える影響を分析するものである。また、ダッカにおいては、関連国・国際援助機関、NGOの難民支援ポリシーがコロナ禍においてどのように変化していったのかを調査した。 日本においては、2021年度に現地に委託する形で実施した量的調査結果を分析し、考察を加えるため、オンライン研究会を実施した。オンライン研究会には調査委託先のメンバーに加え、現地の有識者に参加を依頼し、活発な議論をおこなった。 2022年度の公表実績としては、研究代表者および分担者がそれぞれの所属学会で研究発表を行ったほか、学術出版物での分担執筆や一般向け書籍などでロヒンギャ問題に関する解説を積極的に行った。 研究のアウトリーチ活動にも取り組み、一般向け公開講演会や新聞やテレビでの解説も可能な限り行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、研究代表および分担者全員が現地調査を実施することができた。2022年度の研究成果に2020年度~21年度にかけて実施した現地の調査機関への委託調査や、オンラインでのインタビュー調査の成果を加える形で、論文集の出版を進めている。掲載論文の執筆は順調に進んでおり、より了解可能性の高い内容へと昇華できるよう、校正やベンガル語・日本語・英語間での翻訳作業を進めた。以上のことから(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
難民の抱える生活課題およびレジリエンスに関する調査は、現地渡航によるフィールドでの半構造的インタビュー調査を通じて、これまでに実施した委託調査や現地調査結果の裏付けをとるとともに、より了解可能性の高い論文への昇華を目指すための追加調査を実施する。また、研究成果を英文書籍として発表するための丁寧な校正や、ベンガル語・日本語・英語間での翻訳作業を進める。
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Causes of Carryover |
2020年度、2021年度においては現地調査が実施できなったため、現地に委託する形で調査を実施した。2022年度は、現地調査を順調に実施することができたが、これまでの調査データをもとにした分析や予備調査を継続して実施する必要性がある。2023年度は現地での予備調査の実施とそれをもとにした論文執筆および印刷を予定している。それにともない、渡航および予備調査実施にかかる費用が必要となる。また、調査結果をもとに執筆する論文の校正・翻訳関連の費用が必要となる。
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