2020 Fiscal Year Research-status Report
Turkish Refugee Policies and Protection and Assistance to Syrian Refugees
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20K12329
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
伊藤 寛了 帝京大学, 経済学部, 講師 (30846332)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | トルコ / シリア難民 / 難民保護 / 難民支援 / 難民政策 / 定住 / 社会統合 / 共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
戦後最悪とされる難民問題への対応において、いかに難民を受け入れ、定住(社会統合)させるかが政策的課題となっている。本研究は、世界最多の難民受 入れ国であるトルコがその大部分を占めるシリア難民の受入れにいかに対処しているのかを検証することにより、難民の受入れと定住 (社会統合)に必要な施策について考察するものである。 1年目の2020年度は、当初の計画通り、研究の実施に必要な文献資料や物品等を購入し、研究環境を整えた。具体的には、研究に必要なパソコンやソフトウェアを購入・導入するとともに、(1)トルコの難民政策の現状と課題、(2)支援施策の現状と課題、(3)社会統合指標について、主として文献資料の収集と分析を通じて調査を行った。 (1)については、難民研究の根幹をなす概念である「難民保護」と難民政策に関する文献、(2)についてはトルコで活動する国際機関やNGO・NPO、研究者による調査報告書などの文献、(3)についてはUNHCRやEUなどの国際機関および各国で策定された指標を収集し、分析に着手した。特に、先行研究では難民の保護や社会統合の基盤とされつつも、トルコでは不十分とされる難民の「権利と市民権」と「定住(社会統合/共生)との関係について検証を進めた(この点については次年度も引き続き検討する)。 またトルコを始めとする海外で開催されたウェビナー等にも積極的に参加して情報収集や意見交換につとめるとともに、次年度以降の実地調査に向けた作業も少しずつではあるものの開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により一部の資料を入手ができなったり、次年度の調査日程等の調整が難航している部分はあるものの、研究に必要な物品を調達し、概要に記した文献資料を収集・分析し、2年目以降の研究の大まかな方向性を定めることができたことから、1年目に計画していた研究環境の整備、文献の収集・分析は概ね順調に進展していると評価できる。 また収集した文献の分析をもとに、日本における難民の活動を事例とし、コロナ禍といった状況において難民が支援の受益者から提供者に転じたことを論考としてまとめることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
20年度の調査や調整作業を継続するとともに、トルコでの実地調査を予定・計画している。しかしトルコにおけるコロナの感染状況に鑑みるに、実地調査については当初の予定を変更する必要が出てくるとも考えられる。この点については引き続き感染状況等を注視しながら判断していくこととし、21年度において実地調査が難しい場合は、すでにコンタクトを取っている調査関係者からの聞き取り等をオンラインを活用しながら行うこととする。 また文献や報告書等の資料収集も引き続き行いつつ、当該年度で調査しきれなかった点について次年度以降に調査を行えるよう調整を行なう。
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Causes of Carryover |
①コロナ禍により学会等がオンラインで開催され旅費を使用しなかったため、②また一部資料の収集がでず、それらの保存・保管等に必要となる物品の購入が当該年度で必要ではなかったため。物品については研究の進捗に合わせて次年度に購入することとし、旅費については次年度分に充当することとする。
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