2022 Fiscal Year Research-status Report
エルサルバドルからワシントンDCに渡った先駆的女性移民と同郷人ネットワーク
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20K12334
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
中川 正紀 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (70295880)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ワシントンDC / トランスナショナル家族 / 国際労働力移動 / アイデンティティ / 定質的研究 / 同郷人ネットワーク / 先駆的渡米移民女性 / ジェントリフィケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究期間最終年度の2022年度も、21年度から引き続き、新型コロナウイルス感染拡大の影響で現地である米国への渡航はなおも不可能に近い状態であり、本研究の中心的作業のワシントンD Cでの現地調査は実施できなかった。 2023年度はコロナ禍もほぼ終息に向かい、現地聞き取り調査を実施できる見通しとなったため、研究期間の23年度までの1年延長を学振に願い出をし、23年3月中旬に了承の回答をいただいた。それを受けて、23年8~9月に聞き取り調査を計画し、インタビュー対象者の募集と選定、インタビュー実施場所の手配、インタビュー対象者の面接日程の調整、調査当日のインタビュー対象者の送迎手段の検討などに関する準備作業を、現地協力者とのメールのやり取りを通じて、開始した。 2022年度はいずれ可能となると思われる現地調査に向けて、本研究の問題意識に関連する先行研究を見直した。1960年代~70年代の先駆的女性移民に関してわずかながら存在する歴史研究・文化人類学研究による成果、そして1990年代以降にワシントンDCに見られたジェントリフィケーションとその影響に関する論文類を再読し、インタビューでの質問の中身を検討した。特に、23年度は本研究の最終年度であり、今夏実施のインタビューが最初で最後のものとなるゆえに、そして2回分の調査が今回だけに凝縮されることになるため、質問内容もかなり端的で要を得たものに絞っていけるよう、作業を進めている。このほか、22年度には取り立てて、研究業績と呼べるべきものは発刊できないまま終わった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度もコロナ感染拡大の影響で、米国への渡航は不可能と判断し、本研究の中心的作業であったワシントンDCでの現地調査は実施できなかった。本研究の分析・考察対象となる中心的資料は、現地での聞き取り調査によるデータであり、これが収集できていない限りは研究の本編が始まらないと言ってよい。とりあえず、調査の縮小の可能性を視野に入れた先行研究の見直しを行い、一回限りとなったインタビュー調査での質問の簡素化・明瞭化をはかるとともにポイントを押さえたものになるように調査の準備作業を進めてきている。9月に持ち帰った聞き取り調査のデータは、出来る限り早く文字起こしをし、分析・考察を加えたうえで、23年度中の成果発表にこぎつけるように努めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
日本学術振興会による本研究期間の1年延長の承認を受けて、かねて2020年度、21年度に予定していた2年分の現地聞き取り調査を、23年8~9月に統合して実施する計画である。具体的には、20年度に計画していた「1960年代、70年代移民」20人(女性移民中心)を対象とする聞き取り調査および21年度に計画していた「1980年代移民」20人(女性移民中心)対象の調査を23年8~9月に統合して実施する計画となる。ただし、一部の現地協力者によれば、「1960年代、70年代移民」はかなりの高齢者が含まれる可能性が高く、容易に見つけにくい恐れもあり、今後の現地協力者の準備作業の進展具合によっては、研究結果データの適格性に支障のない範囲で目標対象人数を減らすことも検討中である。 調査に向けて、現地協力者と主にメールを通じたやりとりを行い、聞き取り対象者の募集・選定、インタビュー実施場所の選定および決定、インタビュー対象者の面接スケジュールの調整および面接場所への往復移動手段の検討などを中心に、作業工程や費用も含めて、調査準備を進めてもらっている。
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Causes of Carryover |
元々2020年度、21年度に計画していた聞き取り調査を、2022年度は実施できず、2023年度に2年分の調査を統合して一度に実施することになるため、本研究期間全体で使用する助成金のほぼ全てを23年度の調査で主に使用することとなったためである。ただ、コロナ禍が明けて間もない時期の米国大都市への渡航および宿泊(16泊を予定)となるため、かなりの金額に上ることが予測される。また、インタビュー調査も2週間近くの実施を計画しており、それに向けた準備作業を担当する現地協力者への給与支払い(時給を想定)のためにかなりの額を要するものと考えられる。特に、現地協力者が必要とするのべ労働時間については、研究代表者にもこれまでの実績がほとんどないため、未知数に近いが、出来る限り早めに見積もりを出してもらい、助成金による支払いで対応したい。
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