2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on global collaborative learning for the purpose of developing global leaders for Non-Japanese children who stay in Japan with the status of residence of Permanent Resident or Long Term Resident
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20K12335
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Research Institution | Hamamatsu Gakuin University |
Principal Investigator |
津村 公博 浜松学院大学, 現代コミュニケーション学部, 教授 (30310551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 敬人 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (20254261)
白鳥 絢也 常葉大学, 教育学部, 准教授 (40600383)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多文化共生 / 海外ICT教育 / カリキュラム開発 / 海外連携型協働学習 / 海外遠隔授業環境の構築 / グローバル人材の育成 / STEAM / 外国人児童の母語・母文化保持 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本に定住する海外につながる子どもの中には、公立学校における文化的、言語的な同化圧力により、自らの文化・言語資源を失う子どももいる。日本に定住後も「送り出し・受け入れ地域」の教育機関の転入・転出を繰り返し、行政手続きの間に教育の空白期間を生み出し、学習の継続が損なわれる事例もみられる。地域間を移動する海外につながる子どもを対象に、「送り出し・受け入れ地域」の教育機関が連携した教育支援に関する研究は見当たらない。 本研究の基盤となるのは、海外につながる子どもを対象とした「送り出し・受け入れ地域」の教育機関が連携し開発したカリキュラムに基づいて設立したインターリージョナルスクールである。日本の言語文化に同化する子どものアイデンティの強化により学習意欲の向上を目指すことで、3つの地域をつなぐ将来のグローバルリーダーとして育成することが本研究の目的である。 初年度研究では、フィリピン共和国からの子どもの「受け入れ地域」である浜松市内及び横浜市内の教育機関と「送り出し地域」のダバオ市内の教育機関が連携して双方の子どもが学び合い教え合えるICTプラットフォームとしてGoogle Classroomを基軸としたLMSプロトタイプを制作できた。 カリキュラムの開発の基礎となる3地域のフィールド調査は、ダバオ市フィールド調査は、新型コロナウイルスの蔓延により渡航ができず、代替としてオンラインによるインタビューやアンケート調査、会議を実施した。浜松市・横浜市では海外につながる子どもを対象に制限的なフィールド調査を実施し、コロナ禍における教育環境の変化についても把握することができた。これによりダバオ市の教育省及び公立小学校において、令和3年度に着手する予定であったが、3都市間のオンライン授業を部分的に実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.研究環境整備:クラウドプラットフォームの構築 GoogleClassroomを軸に独自のクラウド型LMS(学習管理システム:GoogleClassroom)を構築し、デジタル教材(動画/画像)の制作、配信・受信、管理をクラウド上で実施している。また、複数のコミュニケーションツールを併用した。3地域間の会議にはZoom、授業の事前打ち合わせには、Facebook Messenger GroupChatを活用した。研究者間のデータ管理は、Stock(情報共有)、Slack(情報蓄積)を使用している。 2.カリキュラムの開発:PBL型協働学修を中心とした探求するプロセスを重視している。 (a)デジタルアート(Music Programming)は、9~5月現在まで継続しており作曲ソフトを使い、PC上で協働して作曲・編曲するためのカリキュラムをデザインしている。(b)日本語は2月から5月現在まで継続しており、低学年にはTPR及びChants、高学年にはコミュニカティブ・アプローチを導入したカリキュラムを開発している。 3.研究方法:新型コロナウイルスにより、ダバオ市内でのフィールド調査を実施できず、横浜市の調査も1回に留まった。浜松市は5月~11月までオンライン調査、12月から実地調査を実施した。フィールド調査の縮小からR3実施予定の授業を前倒し、2月より浜松市・横浜市の大学生によりダバオ市公立小学校の児童を対象にオンライン授業を試験的に開始している。 4.研究評価:フィリピン教育省による視察(令和2年4月)を受け、授業やカリキュラムについては、ダバオ市の区域(City Division)、ダバオ市を含む広域地方(RegionXⅠ) において高い評価(95%)を受けた。研究環境の整備や研究対象である授業実施は推進できたが、研究成果としては、学会等での研究の進捗を報告するに留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.研究環境整備 「クラウドプラットフォーム」構築の課題と改善:初年度は、GoogleClassroomを中心に、他の複数のコミュニケーションプラットフォームを併用し、研究者グループが独自にカスタマイズしたLMSを構築した。しかし、ダバオ市公立学校の教員側が、LMS上にある多種類の機能の使い分けに戸惑いが見られ、より効率的で一体的なクラウド型のLMSの再構築の必要性が生じている。さらに、ODA対象国であるフィリピンと本国との通信環境が大きく異なり、複数のコミュニケーションツールを組み合わせることで接続に不具合が生じることが度々あった。また、教材データの互換性にも問題が生じ、双方のインフラに適応したシステムの開発が必要である。次年度は、初年度で明らかになった課題を改善し、多様なコミュニケーションツールの同時接続を円滑にするため、一体化した利便性の高いクラウド型LMSの構築(System Integration)を目指す。また、オープンソースソフトウェアのMoodleを基盤としたクラウド学習管理システムの導入も視野に入れる。次年度も、新型コロナウイルス感染症による行動制限措置には、本年度同様に研究計画の段階や手順を変更して実施するなど柔軟に対応する。2.カリキュラムの推進: ①デジタルアート:新型コロナウイルス禍のなか「送り出し・受け入れ地域」の子ども同士が、新型コロナに対して「一緒に乗り切る(Together in Harmony)」をテーマに3地域の子どもが協働して作曲し、映像作品を制作する。②言語交換:ダバオの子どもを対象とした日本語授業を発展させることに加えて、「送り出し・受け入れ地域」の子ども同士が日本語とタガログ語を学び合い教え合うカリキュラムをデザインする。3.授業評価:3地域の児童及び教員を対象として授業評価を目的としたアンケート調査及びヒアリング調査を実施する。
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Causes of Carryover |
①ダバオ市の教育省及び公立小学校において、フィールド調査及び研究環境整備を実施し、研究に着手する予定であったが、新型コロナウイルスの蔓延により渡航ができなかった。 ②横浜市において、フィールド調査及び研究環境整備を実施し、研究に着手する予定であったが、新型コロナウイルスの蔓延による行動規制のため、フィールド機関の休業および移動規制があり調査ができなかった。 ③浜松市において、フィールド調査及び研究環境整備を実施し、研究に着手する予定であったが、新型コロナウイルスの蔓延による行動規制のため、フィールド機関の調査方法に変更が生じた
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Research Products
(9 results)