2020 Fiscal Year Research-status Report
An ethnographic study of neighborhood seen from the practice of care in Berlin
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20K12338
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
森 明子 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 教授 (00202359)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ケア / ネイバーフッド / ベルリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ベルリンのインナーシティのネイバーフッドを、ケアの視点から記述し分析するものである。当初、初年度(2020年度)の研究計画は、現地調査を中心とするものだったが、新型コロナウィルスの感染拡大により、現地調査は実行不能となったため計画を変更した。初年度(2020年度)は、オンラインを利用した情報収集につとめながら、これまでの調査研究で蓄積したインタビュー資料、とくに移民を含む住民のライフヒストリーの読み直しと、種々の活動グループや行政の発行するリーフレット・ブックレットを再検討することにした。あわせて、国内で開催される研究会(WEB開催)に積極的に参加し、グローバル化する世界の社会的編成について、どのようなアプローチが可能で、どのような議論が開かれうるか、異なるフィールドで研究を展開している研究者たちと、情報交換・意見交換することに力を注いだ。 これらの研究を通して、本研究の基軸となると考えられるいくつかの点が浮かび上がってきた。第一は、ケアがつくりだす関係として、ケアの与え手と受け手の二者関係にとどまるものではなく、それにつらなるネットワークを問題ととらえることは、研究の出発点における認識であったが、そのネットワークが、人間だけでなく周囲にあるモノや制度、建造環境と、複雑で微妙なからみあいをしていることを、より明示的に分析することの意味。第二は、関係性が構築されることはつながりの分断と表裏一体であることから、分断に注目することが有効な視点となりうること。第三は、高いモビリティと偶発性に満ちた世界の空間性について、オルタナティヴな空間性を考慮に入れることの重要さである。次年度の研究で、これらの視点からのアプローチを深化させていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大のために、予定していた現地調査ができなかったことによる。それに代わって、ONLINEを介して現地に関する新しい情報収集につとめた。文献資料の整理分析をすすめ、また、国内研究者との意見交換を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の基本的な方向性は、ケアの実践を空間的に捉える視点から、文化人類学のケア研究を展開していくことで、その方向性は変わらない。研究計画は、現地調査に基礎をおいたものであり、新型コロナウィルスの感染状況が好転すれば、現地調査にとりくむ予定である。それまで国内でできる資料の収集・整理と、分析・再解釈の深化を進める。仮に状況が好転せず、第2年度(2021年度)もなお現地調査ができない場合には、研究全体における現地調査の比重を低くしていく方策を考えることになる。その場合には、当初考えていたよりも60年代から現代にいたる歴史的な展開に重点をおいて、文献研究のレビューを含めて、批判的に分析検討をおこない、文化人類学研究論としてまとめる予定である。そのような若干の方向修正がありうることは考慮しつつ、当面は現地調査の可能性を探りながら、研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大によって、海外現地調査を行うことができなかったため、予算の大半を現地調査で使用する計画が大きくそこなわれた。これによって生じた次年度使用額は、次年度に計画している海外調査を、より充実して行うために使用する予定である。具体的には調査日程の延長、調査助手の雇いあげ、情報提供者に対する謝金、データ整理のアルバイト謝金がある。
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Remarks |
「国境について考える」みんぱくe-news 235号(2021)を刊行した。 国立民族学博物館共同研究会『不確実性のなかでオルタナティヴなコミュニティを問う――モノ、制度、身体のからみあい』を主催し、研究発表した。
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[Book] What’s Missing? Collecting and Exhibiting Europe2021
Author(s)
Akiko Mori, Iris Edenheiser, Elisabeth Tietmeyer, Susanne Boersma, Suay Aksoy, Wolfgang Kaschuba, Judith Schuehle, Gerald McMaster, Imani M. Tafari-Ama, Diana Pardue,
Total Pages
256
Publisher
Reimer
ISBN
978-3496016526
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