2020 Fiscal Year Research-status Report
チンパンジー・サンクチュアリにおける保全・保護概念形成と実践:シエラレオネの事例
Project/Area Number |
20K12344
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
樺澤 麻美 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 特任助教 (20865191)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | チンパンジー / シエラレオネ / 野生動物保全 / 野生動物保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、西アフリカシエラレオネにあるサンクチュアリ(野生動物の保護施設)において、絶滅寸前種であるチンパンジーと日常的に接している人々(現地職員、外国人スタッフ、地域住民)の経験に着目し、参与観察と聞き取り調査を通じて、彼らが持つ「チンパンジー観」がどのように折衝・相互作用し、サンクチュアリという制度、保護・飼育の実践、動物・環境保全を巡る倫理感を形成しているかを明らかにすることである。当初の研究実施計画では、2020年度前半は文献調査を、後半は実地調査を行う予定であったが、新型コロナウィルスの感染拡大により、渡航が不可能となったため、本年度前半から継続して、文献調査とオンラインでのインタビューを行い、文献収集とデータの収集を行った。現時点で収集した文献および情報は、先進国のチンパンジー観・保全観の変遷、アフリカのチンパンジーの保全活動・サンクチュアリ活動の現状、シエラレオネのサンクチュアリで引き取られた個体に関する情報、新型コロナウィルス感染拡大によるサンクチュアリ及び保全活動への影響等、である。また、チンパンジー並びにアフリカ野生動物の保護・保全に関わる国内外の研究者・活動家との意見交換を行った。野生動物保全・保護活動は、国際社会、特に先進国の価値観や理念、および経済的支援に大きく影響されるため、新型コロナウィルス感染による全世界的な影響は未曾有な事象であり、本研究に新たな視点を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大により、2020年度後半に予定していたシエラレオネへの渡航が不可能となり実地調査が実施できなかったため、当初計画より進捗が遅れている。文献調査に関しては問題なく進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度中に、これまでの文献調査の成果をもとに、シエラレオネにおけるチンパンジー保全の歴史を第37回日本霊長類学会で発表し、論文にまとめる予定である。2021年度は現地調査を予定しているが、新型コロナウィルスの影響で引き続き渡航が困難となることを想定して、オンライン及び現地調査協力者による遠隔での情報収集も検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、当初計画していたシエラレオネへの渡航が延期となったため、旅費、物品費、人件費・謝金を使用できなかった。2021年度に渡航が可能となれば、延期となった現地調査を実施する。また、昨年度に延期・中止となった学会での報告や参加を予定しており、繰り越し分の旅費を充当する。
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