2021 Fiscal Year Research-status Report
Research for Formulation of Air Pollution Prevention and Control Action Plan to achieve SDGs and quantitative evaluation of air pollution reduction effect
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20K12347
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
青 正澄 横浜市立大学, 国際教養学部(都市学系), 教授 (00464157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 研 一般財団法人日本環境衛生センターアジア大気汚染研究センター, 企画研修部, 部長 (80470152)
朱 美華 一般財団法人日本環境衛生センターアジア大気汚染研究センター, 大気圏研究部, 主任研究員 (00770322)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 東アジア酸性雨モニタリングネットワーク / SDGs / 包括的越境大気汚染防止行動計画 / 国際協力政策 / COVID-19感染拡大影響 / 汚染物質削減効果分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、EANET の科学諮問委員会が長年モニタリングをしている酸性雨やPM2.5等の大気汚染公開データを用いて、東アジア主要都市の大気汚染データから現状と将来予測について健康影響評価を考慮した分析を行うことを目的に進めている。 2020年以降のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響が続き、東アジア主要都市の大気汚染データから、想定していた大気汚染による健康影響を分析することができる状況まで回復していない。したがって、データ分析や各国での調査活動、学会発表など予定通り進めることができず研究成果の発表に関しては不十分である。 主な研究としては、朱美華、山下研、靑正澄「ポストコロナ時代中国の大気汚染対策が抱える新課題」(『環境経済・政策研究』14巻1号、pp.24-28,2021年)の中で論じているが、COVID-19によるパンデミックで中国や東アジアの各都市で、各種の産業活動が休業および減産となった。これによってコロナ禍における大気汚染の現状把握を行うこと、加えてポストコロナ時代に予想される大気汚染の状況について、従来とは見方を変えた分析方法が必要となったため、データ収集及びデータ分析方法の見直しを行った。加えて、インドにおけるPM2.5 に伴う健康被害状況が深刻であるため、隣国インドの大気汚染状況は東アジア地域にとって影響のある重要な視点と位置付けて研究を行った。 COVID-19による感染状況及び重症化とPM2.5の関係性については、本研究の対象地の他、インドを加えたことで大気汚染が影響としてみられる複合的な汚染問題を分析する上で多くの知見を得ることができた。このように計画当初に予想していなかったCOVID-19の影響を踏まえた形で大気汚染の分析を行ったことが、本研究をさらに進めていく上で重要な視点となったことは副次的な成果といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、第1に東アジア地域の都市の大気汚染データから現状及び将来予測を検証する目的から、2017年から2020年までのすべてのEANET局の大気汚染データの詳細なデータ解析を行い、解析方法の検討、解析結果についての検討を行っている。加えて急速な経済発展で大気環境の悪化が見られたインドの大気汚染データの収集及び分析も研究に加え、インドとの比較分析が行えるようにデータ収集・解析を進めている。 第2に、東アジアから排出される最新の汚染負荷量データを用いて、各国政府及び地方政府が実施した政策や行動計画と汚染削減との関連性を分析している。この分析結果を基に、各国主要都市における汚染源と汚染物質に関する分析及び汚染削減メカニズムを明らかにする予定である。そのために欧州グリーンニューディール計画、サーキュラーエコノミー行動計画の分析、中国版グリーンニューディール計画等、産業や再生可能エネルギーを促進させる計画との関係についても政策分析を行っている。 第3に、COVID-19による感染状況及び重症化とPM2.5の関係性について、本研究の対象地の他、この影響が深刻なインドの主要5都市の分析を加えて研究を行った。 上記3点について2021年度は研究を進めているが、対象各国での調査やヒアリングを行い、より詳細な現状分析を行う当初の計画はこの2年間全く実施することができずにいる。収集したデータ分析のみに留まっているため、当初掲げた研究スケジュールから遅れた原因になっている。2021年度は、オンラインでの学会が定着したことから、学会発表は前年度に比べ行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、東アジア地域の都市の大気汚染データから現状及び将来予測について、朱美華、山下研、靑正澄「ポストコロナ時代中国の大気汚染対策が抱える新課題」『環境経済・政策研究』14巻1号、pp.24-28,2021年の中で論じたとおり、COVID-19による影響から東アジア各国の産業活動が休業および減産となった。コロナ禍における大気汚染の状況の把握を行うと共にポストコロナ時代に予想される大気汚染の状況について、国と地方政府の環境関連財政支出にどのくらい影響を与えたのかを定量的に示したり、大気汚染物質の濃度についても、COVID-19感染拡大の前後の動向を比較分析したりすることで,ポストコロナ時代における東アジア地域全体の大気汚染対策の問題点と課題を明らかにできる可能性がある。各国主要都市における大気汚染データの分析及び将来予測を検証する。 加えてインド主要5都市(デリー、ムンバイ、コルカタ、チェンナイ、ベンガルール)におけるCOVID-19感染拡大と重症化リスクとPM2.5との関係性について分析を進め、大気汚染がCOVID-19等の感染症拡大を引き起こす原因となっていた場合、健康被害を防止するための対策についても「包括的越境大気汚染防止行動計画」の中に加えるための基礎資料を作成する必要がある。 したがって、この成果をEANETで活用し、東アジア全体で大気汚染を削減するための具体的なシナリオの構築を検討する。加えて、包括的越境汚染防止環境行動計画策定と削減効果の定量的分析と評価に関する検証を進め、研究結果を総合的に判断し、SDGs達成に向けた東アジア地域の「包括的越境大気汚染防止行動計画」の策定に向けた検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
2020年度に引き続き2021年度もコロナ感染拡大の影響を受けたため、計画していた研究対象国での現地調査や関係者等へのヒアリングが実施できず、加えて海外で開催される予定の国際会議と学会への参加ができなかったことから、予定していた研究費を使用することができきていない。
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