2020 Fiscal Year Research-status Report
タイ国における福祉政策の地方での展開 -ジェンダー視点に留意して
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20K12350
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
江藤 双恵 獨協大学, 国際教養学部, 非常勤講師 (50376828)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | タイ / 地域住民ボランティア / 女性 / コミュニティ福祉 / 第一線公務員 / ボランティア / コロナ禍 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年には、新型コロナウィルス感染拡大のため、現地調査は行えなかったので、現地メディア、SNS、およびこれまでの調査地におけるインフォーマントから以下のような情報を得た。 新型コロナ対策にも、タイ保健省は女性が9割を占める地域住民ボランティア(以下オーソーモー)を最大限に活用している。メディアは彼女らをunsung heroとして称え、標準ポロシャツの色が灰色であることから「灰色の服の戦士」と称し、その犠牲的精神や使命感に満ちた「戦いぶり」を賞賛した。さらに、保健省が2019年から展開する「オーソーモー4.0」政策のデジタル化部門を担う携帯電話事業者AISは、自社のオーソーモー関連情報アプリを「灰色の服の戦士」に与える「デジタルの羽」と宣伝する。 2020年末に外国人労働者を中心に感染が拡大するまで、タイにおける新型コロナウィルス感染被害は、あまり拡大しなかった。9月の感染者3000人、死者60人、回復者3300人程度に抑えられていた要因の一つとして、女性が多数を占める地域住民ボランティアの農村部における活躍があるのは間違いない。特に女性メンバーを中心に構成される情報ネットワークは感染拡大抑制に一定の機能を果たしたことが注目される。政府は、オーソーモーの貢献に報いるために無料旅行の特典を設けたり、報酬の増加を検討した。 タイ政府はコロナ禍で影響を受けた国民を救済するための施策を複数のチャンネルを通じて実施し、また、困窮する女性のためには情報ウェブサイトの創設、相談機関の充実などをはかっており、これらのターゲットには農村住民が多く含まれている。農村部の地方自治体では、大学等との連携によって地方に雇用創出する活動などを実施しているが、男女別の情報はないため、地方で展開される複数の福祉政策の影響について、現地の研究者や自治体職員と協力して調査を進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年には、新型コロナウィルス感染拡大のため、予定していた現地調査が行えなかった。そのため、現地メディア、SNS、およびこれまでの調査地におけるインフォーマントから情報を収集した。現地メディアとSNSからは、村落保健ボランティアなどの地域住民ボランティアの役割について予想以上に膨大な情報が収集できている。なぜならコロナ禍において、その重要性に平時以上に着目されたからである。 また、過去の調査地におけるインフォーマントたち、具体的には国立病院所属の看護師や地方自治体の職員たちと、インターネット上のコミュニケーション手段を用いて情報を収集することができた。 以上の理由により、現地調査には質的に劣るとはいえ一定レベルの情報が収集できている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の進展状況を鑑みて、以下の3通りの調査方法を検討している。1と3の併用、あるいは2と3の併用になる予定。8月ごろまでに方針を決め、並行して収集できている情報の分析も開始する。
1、安全に渡航ができるようになり次第、現地(タイ東北地方コンケン県周辺の調査地)に赴いて各地方自治体を基盤とした調査を実施する。 2、2020年度に情報提供してくれたインフォーマントへの聞き取りをインターネット上のコミュニケーション手段を通じて継続するとともに、タイ在住の研究者などに協力を依頼して情報収集を行う。 3、インターネット上の調査アンケートフォームを用いて、コロナ禍における地域住民ボランティアのジェンダーに敏感な地方の福祉推進における役割と意義について全国的な調査を実施する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によって国内外の出張ができなかったので。
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