2021 Fiscal Year Research-status Report
自然災害と交通事故被害減少のためのドライブレコーダーデータの共有に向けた社会実装
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20K12358
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
新井 圭太 近畿大学, 経済学部, 准教授 (60336485)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 交通リスク情報の共有方法 / 地域実証実験 / 産学連携プロジェクト / ドラレコデータの社外利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は民間(=地域バス事業者である全但バス株式会社)および大学(近畿大学新井研究室および大阪大学)からなる産学連携調査プロジェクトを立ち上げた。テーマである「災害時の情報収集のための公共交通バスの利用実験」の情報共有を進め、その上で全但バスの実情も踏まえた上で、以下の取り組みを2022年秋季から実施することなった。 (1) 路線内において事故が起きやすいエリアを抽出し、ドライブレコーダーデータの蓄積を行う。(2)データを解析して車両およびドライバーへのレコメンドを行うシステムを開発する(大阪大学の協力によるもの)、(3)データの社会共有の一歩として大学企業間で「見える化」のための共有手法を開発する(全但バスの協力によるもの)の3点の取り組みである。 ただし、これらのプロジェクトの多くが事業者を含めた現場でのフィールド調査に基づくことから、コロナ禍によって大幅に予定が立ち遅れる可能性はある。 本来ならば上述の内容は2021年度での計画であったが、2022年においてもコロナ感染が急激に拡大し、実現が大きく遅れた経緯がある。そのため、今後の状況の変化を見ながら、場合によっては現場ベースでの作業を大幅にカットした軽量版のプロジェクトへと方向転換をする可能性も視野に入れて進める必要があろうかと考える。このことから、プランB(代替案)として、現状のドラレコデータだけでなく、実験車両にカメラとセンサーを取りつけた上で、ヒヤリハット情報の取得の機会をより多く増やすことを事業者と協議し、合意を得たところである。したがって本来のドライブレコーダーデータと、カメラデータの2本によるトラッキングによって実験を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本調査プロジェクトは、主として現場でのフィールド調査に基づくことから、昨年のコロナ禍によって大幅に予定が立ち遅れることとなった。本来ならば(1) 行政とバス事業者との現場での打ち合わせを重ね、どの路線・どの区間のバス交通を調査対象とするのか、という点を協議した上で、(2)大阪大学と協力して 車両へモニタリング用機材を設置し、現場での撮影状況とビッグデータ化のプレ実験を行う予定であった。ところがコロナ禍の自粛と県外への出張見合わせに よって、現場入りが困難となり、結果として(1)が実現出来なかった。したがって次のステップである(2)も手がつけられていないのが現状である。 現時点でも感染は拡大傾向にあり、かつ緊急事態宣言下にあることを考慮すると、現地調査を主軸とする地域実証実験を本年度中に実施できるかは未知数と言わ ざるを得ない。今後のワクチン接種状況に伴う感染改善の変化を考慮に入れつつ、最悪の場合のプランB(=実験項目を大幅に軽量したプロジェクトへの方向転 換)を視野に入れる必要があろうかと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点 (2022年5月現在) においてもコロナ禍は少しずつ改善の見込みを示していることから、現場での事業者・住民たちとのワークショップや、技術打ち合わせや実験結果(ドラレコのヒヤリ・ハット情報)を交通事業者の社内で単に保有・利用(主にドライバーの教育や研修目的)するだけでなく、広く社会で共有できるためのスキームづくりへと踏み込むこととする。具体的には、まずは大学と事業者間の情報共有を行い、各路線におけるリスク情報をリアルタイムで蓄積し、動的なハザードマップをいかに作成するかを協議する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による自粛および県境をまたく出張制限により、大幅にフィールド調査の遅れが生じ、予算執行面においては本来計上すべき出張旅費や会議開催費用が使用されなかったため、次年度使用額が生じることとなった。 2022年度夏以降、日本においてもコロナの扱いは緩和方向に向かう見込みであることから、昨年予定していた出張および現地ミーティング・現地取材を本年度に実施し、使用額を消化する見込みである。
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