2023 Fiscal Year Research-status Report
自然災害と交通事故被害減少のためのドライブレコーダーデータの共有に向けた社会実装
Project/Area Number |
20K12358
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
新井 圭太 近畿大学, 経済学部, 准教授 (60336485)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 社会実証実験 / 道路状況モニタリング / 交通データ共有の社会実装 / 災害時の情報共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
【現状報告】 本プロジェクトは本年度(2024年度)秋から、実証社会実験を行うこととなった。 実験テーマは本科研費プロジェクトのテーマと同一のものであり、『公共交通機関(バス)による道路状況モニタリングの社会実装と共有』である。具体的なスキームとしては産(地域交通事業者 全但バス株式会社、およびIT開発事業者 スペースタイムエンジニアリング株式会社)・官(豊岡市役所・養父市役所)・学(近畿大学新井研究室(経済学)・大阪大学 山口研究室(情報科学))の3者によって推進する。本研究のより具体的な目標は、中山間地域を走る地域路線バスに取り付けた各種センサ(通常カメラとサーモグラフィおよび赤外線カメラ)によって路面状況や道路状況を常時モニタリングし、平常時は車内に設置したHDDからWiFiでクラウドへ定期的にアップロードし、緊急時(地震や台風等の災害時)は現場から(解像度は低いものとなるが)データを直接送信し、関連団体(県土木事務所、市土木事務所、市の関連行政チーム、消防、警察、病院、大学等)とリアルタイムでの情報共有を行う。また同時に、災害時に救助に向かうためのインフラとして、通行可能なルートの表示とマッピングを行う。 【実証実験開始が遅れた理由】 本プロジェクトを実証実験へと取り付けることに予想外の時間がかかってしまった根拠として、①コロナ後の混乱による相互コミュニケーションコストの上昇、およびこれに関連して②開発面での体制づくり(特に開発系研究室と実際に開発を担う民間企業)に膨大な時間が必要となってしまったことがあった。ただし、これらは既に解消され、開発体制も構築できたことから、今年度から実証を行い、データ取り・仮説検証・分析へと進めることとしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
進捗状況としては、当初予定よりも遅れていると判断せざるを得ない。遅延の根拠として、既に上述した通り、① コロナ後の混乱による相互コミュニケーションコストの上昇、およびこれに関連して② 開発面での体制づくり(特に開発系研究室と実際に開発を担う民間企業)に膨大な時間が必要となってしまったことがあった。また、実際のフィールド先として提供可の意思を事前に自治体から頂いていたものの、社会実証においては『自治体をまたいだ路線ルートに落とし込む必要性」があり、この落とし込み作業(各事業者・周辺自治体の合意形成)に予想以上の時間をさくこととなってしまった。ただし、これらは既に解消され、開発体制も構築できたことから、今年度から実証を行い、データ取り・仮説検証・分析へと進めることとしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後のすすめ方として、既に上述した通りの地域実証実験の今年度の実現によるデータ取りから分析に至るまでの一連の作業を行う。 本研究は既に上述した通り、中山間地域を走る地域路線バスに取り付けた各種センサによって路面状況や道路状況を常時モニタリングし、平常時は車内に設置したHDDからWiFiでクラウドへ定期的にアップロードし、緊急時(地震や台風等の災害時)は現場から(解像度は低いものとなるが)データを直接送信し、関連団体(県土木事務所、市土木事務所、市の関連行政チーム、消防、警察、病院、大学等)とリアルタイムで共有する社会実装を目的としている。そのため、実験を通じて普段の路面状況の状態のデータ化、それに対して災害等の変化があった際の差分データとの比較、さらにプライバシー(個人の特定や車両等の特定がされないための配慮)を考慮したデータの切り出し作業を行った上で、関連部署間での水平共有をテストしてゆく。同時に、災害時に救助に向かうためのインフラとして、通行可能なルートの表示とマッピング化も進める。これらは開発チームの十分なサポート体制が必須であり、昨年度末(3月)時点をもってスキームが完成したことから、これら一連の作業の実現可能性は十分にフィージブルであると考える。
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Causes of Carryover |
既に述べた通り、理由としては当初予定に比べ、技術的な問題から実証実験のチーム編成に非常に時間がかかってしまったことにより、今年度(2024)が本格的な実験年度となってしまったことによる。次に使用計画としては、物品(赤外線カメラ、サーモカメラ等各種センサーおよび計測用設置PC)・人件費(開発企業への発注費用)および海外出張(学会発表および海外の事例調査)の3つにあてることとする。
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