2020 Fiscal Year Research-status Report
Hierarchy of the urban labor market in china :with increacing number of sharing economy workers
Project/Area Number |
20K12360
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
小原 江里香 久留米大学, 経済学部, 准教授 (30400203)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中国 / 非正規就業 / 非正規経済 / 都市労働市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年は、1.先行研究の整理、2、事前調査を行った。
1.先行研究の整理については、非正規就業の概念や尺度の分類、それらを用いた非正規就業者数の測定とその評価、また非正規就業と収入格差・貧困との関係に関する先行研究の論点を洗い出した。その結果、近年は社会保険の加入の有無を非正規就業の定義で使用されるケースが多く、これによると非正規就業者は都市就業者の6割弱を占める。現在進行している中央政府による非正規経済支援や管理強化(「正規化」)について、研究者によって意見が分かれる。都市部で就労する出稼ぎ労働者の貧困問題に着目する研究の多くは、非正規経済の「正規化」によって、出稼ぎ労働者をさらなる貧困に追いやると警告する。 2.四川省綿陽市において宅配人を対象とした小規模な聞き取り調査を実施した。その結果主に以下の5点が明らかになった。宅配人は①正規、非正規の双方の形態を含む、②戸籍は地元農村戸籍者、地元都市戸籍者、外地農村戸籍者、外地都市戸籍者と様々である、③兼業である、④参入の理由は消極的理由(本業の収入不足による生活費の補填)が圧倒的だが、一部には積極的理由(組織に縛られない、家事や育児との両立がしやすい)も確認された、⑤キャリアアップや正規雇用をあきらめており、倉庫管理等や同業他社での転職を繰り返している、⑥本業の収入は極めて低く、副業である宅配業によって生計が維持されている。すなわち、副業である非正規経済が「生存の経済」として重要な意味をもつことを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では調査票調査や地方政府等の関連部署における聞き取り調査を予定していたが、コロナ禍により中国への渡航は困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き先行研究の整理を進める。また調査については、オンラインでの調査票調査や中国の研究機関への委託を検討する。
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Causes of Carryover |
20年度には中国出張を予定していたが、コロナ禍で全てキャンセルしたために旅費の支出がなく次年度使用額が生じた。21年度渡航が可能になり次第中国での調査を実施し、次年度使用額も含めて使用する。
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