2020 Fiscal Year Research-status Report
The Process of Ethnic Art Generation--Tompa Culture to be Resources with Tourism in Lijiang, Yunnan Province, China
Project/Area Number |
20K12361
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
高 茜 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 外来研究員 (90836404)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 麗江 / ナシ族 / トンパ教文化 / 木彫芸術 / 絵画 / デザイン・観光資源 / 改革開放 / 文化変遷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の1年目にあたる本年度は、「2020年度」計画では、麗江現地において観光開発をめぐる社会・芸術組織編成とその活動を中心に調査を行い、その整理と分析をまとめることであった。2020年度、コロナの影響によりフィールドワークができないことから、手持ちの資料をもとに、インターネット上の情報を加えて再取集した資料を加えて現在の状況を確認した。結果として、今後の現地での再調査の目標はさらに明確化した。 さらに、改革開放まで麗江の木彫民芸の歴史について、文献資料に基づいて検討し、1980年代以降の木彫業の麗江市街への復帰から、職人組織の設立や作品テーマの転換まで、多様で波乱に満ちた変遷と展開について整理した。研究の準備にあたって、2019年にデザイン史学研究会の第40回研究発表会において、「中国麗江ナシ族の「トンパ木彫」民族芸術の生成過程-- デザイン史とアート史の人類学」について既に研究発表を行っていた。2020年に「大師」と認定された工芸家の職人に対する継続調査は、現地のWebサイトの情報や、職人および関係者に対するインターネット通信によるインタビューなどによって進めた。また、麗江近くにある雲南の木彫の郷の職人への調査も同様に実行した。そして、フィールドワークの資料を基に、2020年度の資料も加えて、学術論文の執筆を行うことができた。 また、トンパ絵画に関する研究について、伝統トンパ教における歴史を文献資料により一定な整理をした。そして、2020年度に、現代の動きに関する資料収集は、インターネット上に公開された資料や、一部の関係者との連絡により進めている。それらの資料の整理・分析を行い、今後の調査内容と範囲を定めた。2020年12月、デザイン史学研究会第43会研究発表会において、本課題である麗江現地の視覚造形と関連する「中国のトンパ象形文字のデザイン資源化:日本への越境」を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度、フィールドワークができなかったため、研究内容を大幅に調整し、麗江の社会・芸術組織の動きの再調査からナシ族の「木彫芸術」へ研究の中心を変更した。それは、これまでの長期にわたるフィールドワークで入手した確定できる資料の量と質によるものである。2019年末まで、現地の木彫芸術の考察を行ったため、現在の状況を把握しやすく、また2020年中も関係者との連絡を頻繁に取ることができたので、研究は木彫芸術に絞った。「絵画」に関する研究も同様の理由で2020年度に一定の成果を得ることができた。現地のナシ族木彫業者、研究者および絵画の従事者の協力で、手持ち資料の再確認および追加調査ができたので、研究について2021年度に実施を予定していたものの一部を先に進めることができた。以上の理由で、研究はおおむねに順調に進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
1、長期に渡って取集した資料の再確認は現地で行う。より完全な歴史を描きため、多面的な資料収集に着手する。それらの資料の整理および分析をつづける。 2、トンパ絵画ジャンルについて新たな分類法が必要だと感じ、それを明確にした上で、継続的資料の収集及び分析を行う予定である。 3、研究成果の学会交流を積極的に行い、論文や著作の執筆に着手する準備を行う。 4、小規模な研究成果についても積極的に報告し、多様な発表形式で、社会へ発信することを目指す。
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Causes of Carryover |
コロナの環境で、2020年度に予定していたフィールドワークは実施できなかったため、その分の経費は次年度にまわす。 これからの現地調査に使用する予定。
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