2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K12364
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
佐々木 智弘 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 教授 (40436663)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中国 / 政治 / 官僚 / アクター |
Outline of Annual Research Achievements |
軍民融合イノベーション政策の研究に重点を置いて、中華人民共和国建国からの軍民協力に関連する組織(中央軍事委員会、国防部、国家発展改革委員会、人民解放軍など)の歴史的変遷を整理した。また、習近平政権下での軍民融合政策の策定背景、2017年1月に設立された中央軍民融合発展委員会の設立過程を整理した。 軍民融合は、イノベーションを進めるための新たな政策という側面を有する。他方、技術開発をめぐる軍民協力自体は建国当初から進められ、1980年代から深まっていったが、問題点も多い。とりわけ軍や中央官庁と地方政府のあいだにある問題、政策執行のリーディング部門の欠如などの問題は、当時から指摘されていたが、現在まで解決されていない。そのため、軍民融合は未解決問題への対応という側面があることも明らかとなった。そして、軍民融合政策に関わるアクターについても、政策の新規性と継続性の両側面を念頭に置き、行動分析を行う必要があることが新たに分かった。 中国でのヒアリングができず、十分な書籍資料の収集ができなかったが、可能な範囲での軍民融合、軍民協力に関する雑誌論文、書籍を収集し、日本滞在中の中国人の関係者へのヒアリングを行った。さらに、官僚組織の行動に関する先行研究を広く収集し、中国の官僚組織行動の分析への適用について検討を進めた。 これらの成果は、2021年2月に参加している早稲田大学の研究会で「軍民融合をめぐる軍、中央官庁、地方、企業の関係」と題して報告した。この研究会を通じて、2020年度に英語雑誌に投稿することが決まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究を進める上では、中国での(1)関係者・関係機関へのヒアリング調査、(2)研究者との意見交換、(3)資料収集・購入が重要である。しかし、コロナ禍の影響で、2020年度は計画していた2度の中国ヘの渡航ができなかったこと、中国語書籍の購入も限定されたことから、実施計画を十分に進めることができなかった。とりわけ、軍民融合イノベーション政策の研究が受ける影響が大きいと考え、大半の時間を充てたため、もうひとつの事例研究であるマクロ経済政策の研究に時間を割くことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度もコロナ禍の影響で、中国への渡航は難しいと考えられる。そうした状況下では、文献調査により重点を置かざるを得ない。 2020年度の研究で、軍民融合イノベーション政策の研究については、分析視点が明確になったため、2021年度はアクターの影響力行使のメカニズム分析まで進めることができる感触を持っている。マクロ経済政策の研究については、従来よりアクターごとの資料情報は豊富であるため、遅れを取り戻すことは難しくないと考えている。
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Causes of Carryover |
当該年度予定していた中国でのヒアリング調査、意見交換が、コロナ禍の影響で実施できなかったため、旅費、人件費が使用できなかったため。 想定よりも書籍購入、電子ジャーナルの利用を増やしたいので、次年度の物品購入費として使用する。また、新たに英文雑誌への投稿も計画しているため、そのための関連費用に充てたい。
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Research Products
(4 results)