2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K12364
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
佐々木 智弘 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 人文社会科学群, 教授 (40436663)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中国 / 官僚 / 軍民融合 / 中央全面深化改革委員会 / アクター / 影響力 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度、官僚組織の影響力メカニズムに関する「情報産業部・工業情報化部と最高指導者の協調関係―事業者再編案・3Gサービス営業免許発給の決定過程」を執筆し、それを博士論文に加え、単著『現代中国の官僚組織行動―電気通信事業改革の政治過程』を刊行した。これは、本研究のベースとなるものである。 軍民融合イノベーション政策の研究については、習近平政権下での関連アクター、軍事技術と関わる技術開発を整理した。デュアルユースの技術開発の中心となる官庁、参加した官庁、技術開発項目については、概ね把握できた。しかし、技術開発項目と所管官庁の関係性は一様ではなく、関係性の分類を試みることが新たな課題である。また軍との関連性も、文献調査からは把握が難しく、関係者や専門家へのヒアリングが必要であることを再確認した。 2020年度に時間を割くことができなかったマクロ経済政策の研究については、中央全面深化改革委員会の役割を、同委員会で採択された政策文書の分析を通じて明らかにすることに着手した。 2021年度には、軍民融合イノベーション政策の研究、マクロ経済政策の研究ともに、分析視点をより明確にできた。しかし、コロナ感染の影響により、中国でのヒアリングができず、十分な書籍資料の収集ができなかった。また流通が滞っており中国語書籍を十分に入手できなかった。そのため、電子ジャーナル(CNKI)を利用し、可能な範囲での雑誌論文の収集を行った。また引き続き、官僚組織の行動に関する先行研究を広く収集し、中国の官僚組織行動の分析への適用について検討を進めた。また、他の科研費研究プロジェクトと共同で、中国の地方政府の資料について検討するための研究会を企画し参加した。成果の一部は、2021年2月から参加している早稲田大学の研究会を通じて、2022年度に英語雑誌に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究を進める上では、中国での(1)関係者・関係機関へのヒアリング調査、(2)研究者との意見交換、(3)資料収集・購入が重要である。しかし、コロナ感染の影響で、2020年度、2021年度に計画していた計4度の中国ヘの渡航ができなかったこと、中国語書籍の購入も制限されたことから、実施計画どおり進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染の影響、さらには中国における外国人研究者の調査活動に対する政治的警戒が厳しくなっている現状があるが、2022年度は中国への渡航、中国での現地調査の実施を模索し、関係者や専門家へのヒアリングを実施する。また台湾の大陸研究者との情報交換で中国での現地調査不足を補うこと、台湾で資料収集を行うことを検討するとともに、引き続き文献調査による研究を進め、成果をまとめようと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ感染の影響で、2020年度と2021年度に実施予定だった計4度の中国での現地調査が実施できなかったため、旅費、及び人件費・謝金を使用することができなかった。 2022年度は、コロナ感染の影響がなくなることを期待し、中国での現地調査を実施するとともに、台湾での大陸研究者との意見交換、資料購入を行う予定である。
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Research Products
(4 results)