2020 Fiscal Year Research-status Report
Comparative Studies on Digitalization in Asia: Level of Usages, Policy Framework, and Identification
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20K12367
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 亜聖 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60636885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 成垣 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (20451875)
大泉 啓一郎 亜細亜大学, 付置研究所, 教授 (70843689)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アジア / デジタル化 / 個人認証制度 / Eガバメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はアジア諸国のデジタル化に関する基礎文献整理と予備調査を実施する予定であった。新型コロナウイルスの流行の影響を受け、現地での調査は断念し、国際機関の資料整理と研究会開催を優先した。また感染症対策のためにデジタルツールが活用されたこと、電子認証制度の重要性が改めて認識されたことに鑑みて、コロナ下におけるデジタルツールの利活用とEガバメント化の進捗についても情報収集と議論を行った。またこれらの議論を踏まえた内容を含む研究成果を、研究代表者が著した『デジタル化する新興国』(中公新書、2020年)の第6章に盛り込み刊行した。 まず基礎的な資料として世界銀行、OECD、UNTAD、ADB等のデジタル化関連の報告書を検討し、同時にアジアおよび途上国を対象としたデジタル化に関する事例研究成果を収集した。感染症の流行に対応して、直接現金給付や濃厚接触確認アプリといった面で、デジタル技術が積極的に活用されたこともすでに報告されている。論点として残るのは、こうしたデジタルツールの利活用の面で、国家間で大きな取り組み水準の差異が見られていることだろう。デジタル化に関する政府の事前の取り組みに加えて、個人情報への態度、およびそれを規定している国家の経路依存性(比較的最近まで権威主義体制であった、等)も視野に入れる必要がある。国家間のデジタル技術の利活用水準の差が、コロナ危機により顕在化したということもできる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症拡大の影響で、アジア諸国での現地での準備調査ができなかった。一方でコロナ危機下で予想以上にデジタル化が加速したこともあり、感染症対策へのデジタル技術の利活用等、新たな状況の把握に注力する必要が生じた。次年度以降に、コロナの影響も含めて、踏み込んだ分析を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では引き続き当初計画の通り、利活用水準、電子認証制度、開発構想を軸として研究を進める。同時に、コロナ下でのデジタル化への関心の高まりを受けて、感染症対策といった2020年以降に見られた新たな課題解決への対応という面にも目を向けることとする。現地調査についても条件が整ったタイミングでの実施を検討したいが、それが難しい場合には機動的に別途研究領域を重点化することとする。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス蔓延のため、国外調査地での現地予備調査が実施できず、各種資料の収集にとどまった。渡航調査が実施可能か引き続き不透明であるが可能性を模索しつつ、質的量的データの収集に向けて資料収集と現地研究者からのインプットを得る方向で検討を進めている。
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Research Products
(1 results)