2021 Fiscal Year Research-status Report
Language Transmission and Inclusion of Ethnic Cultural Diversity in Francophone Canada - Ontario as an Example
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20K12368
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小松 祐子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (90361295)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カナダ・フランコフォン / アイデンティティ / 言語継承 / フランス語教育 / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、カナダのフランコフォン(仏語系住民)の言語継承と新たなアイデンティティ確立のための教育的課題について、移民統合や多文化共生という社会的要請をふまえ、検討している。2021年度も前年に続き、パンデミックの影響により、当初予定していた現地での調査が不可能となっているため、インターネット上で閲覧可能な資料や入手可能な出版物をもとに研究を進めるとともに、現地研究者へのオンラインでの聴取りを行った。また現地研究者をオンラインで招へいし、日本国内向けに講演会(通訳つき)を企画実行することにより知見を得ることができた。2021年度はおもに、カナダの公用語としてのフランス語の状況、二言語主義とバイリンガル教育の課題について詳しく検討を行った。結果、カナダ国民の公用語バイリンガリズムには偏りがあり、とくにアングロフォンのFLS(第二言語としてのフランス語)教育に教授法的にも制度的にも課題が多いことがわかった。制度上の二言語主義にとどまるのではなく、実際に人々が二つの言語で機能し相互コミュニケーションのなかから理解を深め、他者の文化を尊重し学ぶことで異なる文化の共存が実現することが望まれる。フランス語をカナダの不可欠な部分として位置づけ、カナダの若者がフランス語を学ぶ機会を促進することが、公用語グループ間の相互理解を育み、公用語マイノリティであるフランコフォンを価値づけるうえで重要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パンデミックの影響で現地での調査計画はすべて延期・中止せざるを得ない状況が続いている。計画の一部を変更し、文献での調査を進めるとともに、現地調査の代替措置として現地研究者にオンラインで聴き取りを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度には過去2年間に文献調査等により明らかとなった研究成果を踏まえ、現地対象者に(オンライン)インタビュー調査を実施し、理論的枠組みや制度と現状とを比較検討する予定である。また現地研究者を日本へ招へいし(不可能な場合はオンラインで)、本課題研究成果発表のためのシンポジウムを開催することを計画している。カナダにおけるフランス語系住民のアイデンティティ形成と言語継承のための教育的取組みの現状と課題とを具体的に明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
パンデミックの影響で現地調査のための出張を延期してきた。2022年度にはオンラインでの調査や聴き取りにかかわる謝金、現地研究者の日本への招へい、成果発表に予算を使用したいと考えている。
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Remarks |
À la poursuite de la dualité linguistique : Retour sur l’apprentissage du français langue seconde au Canada, 講師:ジェレミー・セロール教授(オタワ大学公用語・バイリンガリズム研究所所長), 通訳・解説:小松祐子, 2022年1月29日(土)Zoomにて開催.
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