2023 Fiscal Year Annual Research Report
Language Transmission and Inclusion of Ethnic Cultural Diversity in Francophone Canada - Ontario as an Example
Project/Area Number |
20K12368
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小松 祐子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (90361295)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カナダ・フランコフォン / アイデンティティ / 言語継承 / フランス語教育 / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題最終年度の2023年度にはとくに「カナダのマイノリティ環境におけるフランス語学校」について検討を進めた。英語系が支配する社会のなかで、フランス語とその文化の再生産を促進することにより、集団アイデンティティの維持と強化や共同体の統合のための基盤となってきたのがフランス語学校であることから、今年度の研究では、主に文献をもとに、カナダ・オンタリオ州におけるフランス語学校の歴史を理解することからはじめ、現在の制度やカリキュラムを確認し、フランス語学校が抱える課題を5点に分けて整理した。英語への同化政策のもとでの苦難の歴史を経て、勝ち取られた教育権を行使するため、今日のオンタリオ州フランコフォンは、子どもたちの質の高い学びを保証し、社会に対する説明責任を果たすためのフランス語学校制度を確立している。しかし、教員数、学校数の不足といった現実的な問題ばかりでなく、英語が支配的な社会のなかで、また子どもたちの言語文化的なバックグラウンドが多様化するなかで、フランス語話者としての言語的・文化的意識をいかに育み強化するのかという本質的課題を抱えていることが明らかとなった。また、本研究では、現地のフランス語学校3校を視察し、その見学報告をまとめて発表することにより、次期研究課題「カナダのマイノリティ・フランコフォンにおける言語とアイデンティティの教育」(基盤研究(C) 23K11577)との接続を目指した。
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