2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on the route of transmission and spread of tea (the Tea Road) in Japan
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20K12374
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
久保 中央 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (60347440)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | チャ / 伝播 / DNAマーカー / 在来種 / 品種 |
Outline of Annual Research Achievements |
R3年度は、日本におけるチャの伝播に関する時間的指標を得る目的で、年代推定可能な試料(幕末にシーボルトが国内で収集・作成した押葉標本)を東京都立大学牧野標本館およびナチュラリス生物多様性センター(オランダ国立植物標本館,ライデン,オランダ)から入手してDNA抽出を行った。葉の原型は留めていたものの100年以上前の試料であるため経年劣化を受けており、抽出されたDNAは予想通り極少量で濃度も非常に薄く(1 ng/uL未満~4 ng/uL)、分解を受けていた。通常の手法ではPCR増幅が困難であると予想されたため、増幅に使用する酵素の検討を行った。その結果、KAPA 3G Plant PCR Kit(日本ジェネティクス)でPCR増幅とDNA型の分析が可能であることが判明した。ただし、これまでチャのDNA分析で使用したSSRマーカー9遺伝子座(Kubo et al. 2019)のうち、増幅サイズが比較的大きい一部のマーカーでは増幅が不安定だった。現在、PCRに投入するDNA量を増やすため、濃度の薄いDNAを増幅可能な全ゲノム増幅キットの利用を検討している。なお、ナチュラリス生物多様性センターから製茶標本も入手したが、いずれもこより状に製茶された(複数個体の茶樹由来の葉が揉み込まれた)状態の葉茶であったため、残念ながらDNA解析は未実施とした。 九州北部の試料や古木については、新型コロナ感染症拡大の影響でR3年度も収集が出来なかったが、上記標本中に九州由来のものがあり代用可能と考えられた。 また、R3年度までに上記SSRマーカーによるDNA分析を完了した試料のうち9集団(83個体)を代表として、SSRと比べて大量のデータが得られる手法(次世代DNAシーケンサーを利用したRAD-seq)を進め、解析用の生データを取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年代推定可能な試料(押葉標本)のDNA分析が可能であり、次世代DNAシーケンサーを利用したRAD-seqの解析用生データも計画通り取得されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
R4年度中に押葉標本のDNA分析を完了し、次世代DNAシーケンサーを利用したRAD-seqの解析データを基に類縁関係の推定を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の拡大のため、SSRマーカーによるDNA型分析を実施する九州北部の試料の入手点数が予想よりも少数となり、その影響で消耗品の支出が減少した(差分の一部は、標本から抽出したDNAを増幅するための酵素類に支出した)。次年度使用額は、R4年度、濃度の薄い標本由来のDNAを全ゲノム増幅するためのキット類に支出する計画である。
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