2020 Fiscal Year Research-status Report
Impact of "frontier capitalism " on peoples' livelihood strategies in mountainous areas in Myanmar
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20K12376
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
岡本 郁子 東洋大学, 国際学部, 教授 (00450487)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 農家世帯の生計戦略 / 慣行的土地利用 / ミャンマー / フロンティア資本主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ミャンマーの山岳地域において、中央権力や企業といった外部者が権威主義的な方法で資源を収奪していく「フロンティア資本主義」がどう展開しているのか、それに対して住民が生計戦略をどう変化させているのかを、特に山岳地域で広範にみられる慣行的土地利用の変化に焦点をあてながら明らかにすることを目的としている。 少数民族が多く居住する山岳地域は、長年にわたり中央政府との対立が続きそれは時として武力衝突の形をとった。とりわけ、本研究の主な調査対象地域であるカチン州は戦闘が断続的に続いてきた地域である。2021年2月に発生したクーデター後、再び戦闘が激化している。 一方で、中央政府、国軍、また中国資本による資源収奪が民政移管後の経済開放路線の下で、むしろ加速化した地域でもある。そうした中で、実際に住民は生計戦略をどのように変えているのか、あるいはいないのか、またその過程でどのような問題が当該地域で生じているのかを、関係団体や地域住民への聞き取り調査を通じて解明を目指している。 しかし、2020年度は新型コロナ感染拡大の影響から、現地への渡航は1度もできなかったため、現地機関でのみ得られる統計的な情報の収集、また現地の土地利用慣行の概要把握のヒヤリングなどが実施できなかった。そのため、世帯調査のための準備に至ることもできなかった。 以上のような状況から、今年度はカチン州の土地利用慣行の実態を理解する一つの材料として、焼畑耕作のために慣行的な土地利用が広範に行われているカチン州やチン州に関する文献の収集に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現地への渡航が1度もできなかったため、調査対象地域の概要や基礎的な統計情報の収集が実施できていない。そのため、2020年度の現地調査をもとに行う予定だった、世帯調査のための調査地絞りこみもできていない。 コロナ禍のみならず、クーデターの影響によって調査地域への入域が困難になることも懸念される。
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Strategy for Future Research Activity |
ミャンマーで2021年2月1日にクーデターが発生し、国軍が権力を掌握した。一方で、全土において市民の抗議活動が継続し、それに対して軍・警察による激しい弾圧が繰り返されれる事態となっている。新型コロナ感染拡大の状況が明確になっていないだけでなく、非常に今後の政治状況も不透明であるといわざるを得ない。とりわけ、カチン州では再び武力衝突に発展してしまっている。 こうした状況から、本研究の推進方策に関しては、具体的な案を立案するのが現状では困難である。まずは現地の治安状況、渡航の可否、調査実施の可能性などを常時把握し、研究・調査計画を状況に応じて修正していく。 合わせて、ミャンマー国外で可能な情報、文献収集は継続していく。
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Causes of Carryover |
2020年度は予定していた調査等のための渡航が実施できなかったため、予定通りの使用ができなかった。これらは21年度以降の渡航のための費用に充当する。
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