2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of the Relationship between Expansion of the Role Function of Schools and the Doctoral course of EdD setting in England
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20K12379
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
冨田 福代 岐阜聖徳学園大学, 外国語学部, 教授 (40369591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今泉 友里 茨城大学, 教育学部, 助教 (00821662)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 専門職博士EdD / イギリスTeaching School制度 / 実践的教師教育 / 英米の教師教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず前年度令和5年2月実施のイギリスTeaching School Hubの調査結果を整理し、今年度の研究計画の修正を行った。2011年に始まったTeaching School制度は、学校現場が中心となり教員養成を行う特徴的な制度である。そこで学生を直接指導する学校教員には、指導上必要な優れた実務経験と共に、教員養成に関する高度な理論や知識が求められる。そのため実践的博士であるEdDに対する一定の認識と需要が想定される。 Teaching School制度開始から10年を経てその実態に進展はあったのだろうか。ロンドン郊外の「Teaching School Hub Berkshire」に訪問調査を行った。2019年調査に続き、今回もTeaching School側に本研究仮説にあるEdDといった学術的素養の必要性の認識を確認することはできなかった。それは2020年大幅に改革された新Teaching School制度においても、Teaching Schoolの認定やそこでの指導者の要件に学術的要素は求められていないことになる。訪問調査の内容からも、教員養成における「理論」は連携する地元の大学が、「実践」は学校が担当するという役割分担が定着していると考えられる。訪問調査の中でこの点に関する議論を行った結果も、同様に整理して同時に分析を進めている。 また今年度からアメリカ調査では、L.S.ショーマンが提唱した実践的博士であるProfessional Practice Doctorate(P.P.D.)を継承し展開するEdDの実践的研究「カーネギープロジェクト」(CPED)を調査し、その事例としてサウスカロライナ大学のプログラムにオンラインで参加した。EdDの論文作成プログラムは、先行研究による理論的背景を確認した上で自らの勤務校や担当クラスを対象に介入して変化を分析する実践的な研究が行われている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍による前年度(令和4年度)までの研究計画内容実施の遅れを取り戻すべく、4年目にあたる令和5年度は新たに米国の教師教育を専門とする研究分担者を加えて2人体制で取り組んできた。 まず具体的活動として、本研究プロジェクトのプラットホームとしてGoogle Classroom「科研「博士課程EdD」」を作成し、日常的な連絡、記録、書類、資料などすべてのデータをここに一括管理し共有することにした。 また日常的活動として、研究分担者と年間を通して定例のオンライン月例勉強会を実施している。比較教育学の視点から、日本をベースにイギリスとアメリカのEdDの実態の文献やネット検索の結果や、関連する文献や論文等の内容や考察の報告など、それぞれがその間に行った活動や成果を毎回2時間前後に亘って交流し検討を行っている。 研究全般とイギリスを担当する代表者は、これまでのTeaching School制度とEdDの研究成果とそれを踏まえた現状調査の整理と分析を主な内容とした。また研究分担者は、L.S.ショーマンの文献内容や、日本でも比較的進んでいるアメリカのEdDの先行研究の整理を行い、現在活動する「カーネギープロジェクト」(CPED)のプログラムの一環にオンラインでの参加観察を行っている。 当初計画の最終年度にあたる今年度は、これまでの研究の遅れを取り戻すべく凝縮した計画で進めてきた。今年度は研究計画の遅れを取り戻しつつあるものの、これら一連の研究活動内容から一定の成果を得て、その内容を整理して学会や論文を通して社会に公開するにはまだ相当に時間を要する。当初予定した研究期間での研究全体の完了は困難なため、令和6年度に延長が不可欠となった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の1年延長を行い令和6年度も研究継続を予定した。今年度は、研究体制と全体計画に大幅な変更を行い、研究分担者を加え、かつ研究対象も英から英米両国に拡大している。その方針に変更はなく、今後もその方向で進めていくことになる。 今後は本研究のまとめの段階に入り、これまでの調査結果を整理して文献や論文内容を踏まえた考察を行うことになる。その取り組みは、今年度同様に定期的なオンライン月例勉強会を進めていく。 研究成果をまとめる段階として、最終の論文投稿を視野に入れた令和6年度の学会発表を計画している。6月の日本比較教育学会と8月の日本教育学会を予定し、すでにその準備と手続きを進めている。それぞれの学会の趣旨に沿って、教育学的視点と比較教育学的視点から研究内容を角度を変えて整理し考察を進めている。 その過程で確認できる代表的な先行研究の著者に、オンライン研究会にゲストとしてプレゼンを依頼する方向で既に2名に連絡をとっている。令和6年夏の学会までに話を聞き、出来る範囲で学会発表の内容にも反映させたい。 学会発表終了後は、発表で得られた意見等を踏まえて研究成果の整理をおこない、論文化の作業を進めていく。またその過程で必要となる補足調査は、可能な範囲で取り組んでいく。令和6年度は論文投稿の準備を進め、令和7年度の投稿に向け取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による研究計画変更に伴い、研究期間を1年間延長して研究分担者1名を加えた。これにより次年度使用額が生じた。
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