2021 Fiscal Year Research-status Report
民主化期インドネシアにおける国民の国軍観と国軍・社会関係に関する地域研究的分析
Project/Area Number |
20K12384
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
森下 明子 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (40822739)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | インドネシア / ジョグジャカルタ / スルタン / ツイッター |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度に引き続き、2021年度もコロナ禍のためインドネシアに渡航できず、現地でのデータ収集およびその整理・分析を行うことができなかった。そこで、2021年度は、本来現地調査を実施する予定であったインドネシアのジョグジャカルタ特別州に焦点を当て、国内での文献・データ収集および分析を行い、その成果について3件の口頭発表を行った。ジョグジャカルタに注目した理由は、1998年のスハルト退陣要求運動時に同州ではスルタンが大きな役割を果たしたからである。ジョグジャカルタ市民の国軍観を探るには、市民がスルタンと国軍の関係をどう見ているかを探る必要がある。 1件目の口頭発表では、文献調査をもとに、社会運動にみるジョグジャカルタ市民のスルタン観とその変化を考察した。また、その分析結果をタイとマレーシアの国民と国王の関係と比較し、仮説として共通点を提示した。 2件目は、ツイッター分析を通して、ジョグジャカルタ市民が自治体行政をどのように評価しているのかを探った。特に環境行政に焦点を当て、2013年から2020年の間にツイッター上でどのような情報に注目が集まり、どのような反応が見られたのかを明らかにした。ジョグジャカルタではスルタンが州知事を務めるが、ツイッター上の市政評価(環境分野に限らない)においてスルタンへの言及はないことがわかった。ただし、市長への言及はみられた。 3件目は、インドネシア国民の価値観の多様性を整理することを目的に、ジェンダーとイスラームをめぐるインドネシアの政治と社会の特徴を明らかにした。そのなかで、伝統的権力概念およびスハルト時代の家族主義概念が、現代社会にどのような影響をどの程度与えているのかを探った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
「研究実績の概要」でも述べたように、コロナ禍のため2020年度から引き続きインドネシアに渡航できず、そこで得られるはずであったデータの整理・分析ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の遂行には現地調査が欠かせないが、2022年度もインドネシアに渡航できたとしても十分な調査は難しいと予想する。そのため、2022年度の主な調査は引き続き日本国内にて行う。図書館とインターネット等を最大限に活用しながらインドネシアの政治、国軍に関する資料・文献を幅広く収集し、その精査分析を進める。また、渡航・調査が可能と判断した場合には、2023年3月に現地調査を行う予定とする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のためインドネシアへの渡航・現地調査ができず、次年度使用額が生じた。2022年度にインドネシアでの調査が十分に可能と判断した場合には、旅費として使用する。
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Research Products
(3 results)