2020 Fiscal Year Research-status Report
開発途上国の地方公共交通に関する実証的研究:東南アジアにおける「足の確保」の実態
Project/Area Number |
20K12386
|
Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
湯川 創太郎 大阪商業大学, 経済学部, 講師 (30596945)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 聡一郎 国土交通省国土交通政策研究所, 研究官(任期付) (20781917)
東 秀忠 山梨学院大学, 経営学部, 教授 (50583267)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 地域交通政策 / 公共交通 / 東南アジア / 国際交流 / ライドシェア / 新型コロナウイルス感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画では、採択後出来るだけ早い時期に各国の研究協力者の元を訪問し実地調査、アンケート調査を進める予定であったが、新型コロナウイルス感染症(以下「コロナ感染症」と略す)の日本国内・東南アジア地域への拡大により渡航が困難となった。次善の対応策として、2020年冬~2021春季には渡航が可能になることを見込み、電子メール・オンライン会議システムで詳細を打ち合わせ、渡航可能となった時期に速やかに調査を行う事を検討したが、日本国内・東南アジア共に大学の閉鎖(入構制限)・遠隔講義の実施等が続き、2020年前半は双方の安否を確認することで手一杯であった。コロナ感染症の流行自体、当初の予想を上回る形で長引いており、訪問しての調査の見通しを立てる事が困難である事に加え、研究テーマである『「足の確保」の実態』そのものがコロナ感染症の影響を受け変化しつつある。 こうした問題をふまえ、2020年度後半は、「今後東南アジア全域で、コロナ感染症の影響を受けた交通の状況変化、交通政策の在り方の変化」が起こることを予想し、それに対応した方法論の再検討を行った。具体的には、研究開始の数年前から拡大の傾向にあったスマートフォンで呼び出すタクシー・バイクタクシー(いわゆるライドシェア)のニーズがさらに高まる事が予想されること、そして、それを受容する、或いは対抗して規制を強める、既存の公共交通機関の機能強化を図るといった政策が行われる事が予想され、先駆けて各種の取り組みを行っている日本やフランスの地方交通の事例を検証した上で、これらのニーズをも把握できるアンケートの設計を行った。また、一部の海外研究協力者とは、コロナ感染症の公共交通へ与える影響についての情報交換を始めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は現地に渡航して打ち合わせ・実地調査を行う事が前提の研究であり、コロナ感染症により渡航が困難になる事、また調査地において外出規制等の政策が行われ例年通りの日常生活が行われていない事は研究の進行に大きな影響を与えている。 2020年度当初に検討した次善の対応策は、2020年冬~2021春季には渡航が可能になることを見込み、電子メール・オンライン会議システムで詳細を打ち合わせ、渡航可能となった時期に速やかに調査を行う事であったが、日本国内・東南アジア共に大学の閉鎖(入構制限)・遠隔講義の実施等が続き、またコロナ感染症の影響が予想より長引いているため想定通りに実施することが出来なかった。2020年度後半には、情勢を踏まえた方法論の再検討を行い、一定の成果を残したものの、円滑に研究が進んでいるとはいいがたい状況が続いている。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染症の問題は、東南アジア地域では今後数年にわたって続くとみられる。 コロナ感染症の問題が長期化することは、既存の公共交通事業者の経営にはマイナスの影響を与え、研究開始の数年前から拡大の傾向にあったスマートフォンで呼び出すタクシー・バイクタクシー(ライドシェア)のニーズをさらに高める影響をもたらすと考えられる。調査上の課題点としては、こうした変化が急激に起こる事と、変化が起こる前、すなわちコロナ感染症以前の状況を把握することが困難になることが挙げられる。 こうした課題点を踏まえ、2021年度以降は2020年後半に引き続き、先駆けて各種の取り組みを行っている先進国(日本・欧米)の事例を検証した上で、コロナ感染症の影響を踏まえたアンケートの設計・試験配布を早急に行う事を検討している。また、本研究以前に収集した断片的な情報も出来るだけまとめて、比較調査に耐えられるものとすることも重要であると考えられる。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症に伴い、国内出張、海外出張共に困難になった事に加え、情勢を鑑みて研究計画を再考する必要があったため。今後制限緩和と併せて使用していく予定である。
|
Research Products
(8 results)