2021 Fiscal Year Research-status Report
Grassroots Governance in Contemporary China
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20K12389
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
任 哲 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター ガバナンス研究グループ, 研究員 (90434381)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中国 / 行政コスト / 国家・社会関係 / 集団所有企業 / 都市化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は財政の視点から現代中国の基層ガバナンスの持続可能性を問うものである。基層ガバナンスに関する先行研究では利益紛争を取り上げ、統治の安定性を分析することが主流であるが、中長期的な視点に欠け、肝心の財政問題も解明できていない。そこで、本研究では「資金の出所と使い道」の視点で2000年代以後の基層研究を再検討する。具体的には、行政組織の末端である郷(ごう)鎮(ちん)政府と自治組織である村・社区(Community)に焦点をあて、行政コストの視点からその持続可能性を検討する。中国の基層レベルにおける行政コストは政府と社会の双方が負担することで成り立つ。政府側の支出は国家財政からのもので、社会側の支出は主に村・社区が経営する集団所有企業(Collective Owned Enterprises)が負担する。双方の負担率がどのように変化したのか。経済成長と共に急増する行政コストを双方は負担できるのか。マクロの経済環境の変化はガバナンスに如何に影響するのか。本研究は経済発展が進んだ沿海地域での事例研究を中心に、基層レベルのガバナンスの持続可能性の解明に挑む。 2021年度の研究では現地調査の実施ができないことを予想し、次の二つのテーマに特化した研究活動を行なった。1)広東省、浙江省で公開された末端行政の収支に関する統計資料を徹底的に収集した上、収支に関わる政府の公式資料、新聞報道などを収集・分析した。2)集団所有制に関する議論を再度整理し、都市化の進展状況が停滞している現在の中国における集団所有の意味を議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、感染症による渡航制限を予測した研究計画を立てたので、現地調査はできなかったものの、関連する研究資料の収集は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査と統計資料分析を両立することが本研究の最大の特徴である。しかし、感染症による渡航制限が継続すること、また、現地の研究協力者も感染症への警戒から、自由な調査ができないことが続いている。今後は、現地調査の可能性を探りつつ、公開資料、統計資料の分析に重点を置きながら、研究を進めたい。公開資料に関する分析では、テキスト分析手法を新たに導入し、トレンドを把握したい。
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Causes of Carryover |
現地調査が実施できなかったことによるものである。次年度でも現地調査の実施が難しい場合、統計資料の購入、国際学会での研究成果の発信のために使用したい。
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