2020 Fiscal Year Research-status Report
日本の島嶼部における複合的観光システムのレジリエンスを高める要因の検討
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20K12400
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
フンク カロリン 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (70271400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 慶在 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 講師 (50782140)
笛吹 理絵 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 助教 (50850153)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 島観光 / レジリエンス / 複合的観光システム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者と分担者で定期的に集合し,レジリエンスと持続可能な観光の理念に関する先行研究を検討し,その上,調査の内容とシンポジウムの計画について検討した。 本研究のフレームワークを国際的な視点から検討するために,2020年11月28日に地理科学学会の第37回シンポジウムとしてTourism Transformations: Resilient Islands and Revitalized Communities(観光の変容:回復力のある島と活性化されたコミュニティ)のシンポジウムをオンラインと対面のハイブリッド型で開催した。発表8件は国内・海外の若手研究者と島の観光について研究業績の多い研究者により行われた。シンポジウムにおいて,観光地理学で最も重要な学術雑誌であるTourism Geographiesの編集者2名がオーガナイザーとコメンテーターを務めた。発表内容は国内と海外の事例を取り上げ,ジェンダー,技術,生態系など,多様の視点に及んだ。このシンポジウムを通じて,観光による島の変容を始め,レジリエンスとコロナ禍の関係についても検討でき,今後の研究の基盤を固めた。 現地調査について,大久野島,大崎下島,倉橋島と江田島など,広島県内の島を中心に聞き取り調査と学生によるモニタツアーを実施した。モニタツアーの結果についてその後,現地で発表を行った。現地調査を通じてコロナ禍の影響による新たな課題を機会を把握できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響により,研究全体と現地調査が遅れている。研究のフレームワークについてアドバイズをいただく予定であったAlan A. Lew教授は来日できず,シンポジウムでの協力が得られたが,共同調査や研究会の実施が不可能であった。今後,2021年11月に実施する予定である。また,国内と大学による移動制限により,他県への調査が可能な時期が限られていた。また,研究の対象は島であり,外部からの来訪者について懸念を持つ島も少なくなかったため,現地調査の機会が非常に限られていた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は2020のシンポジウムの成果を踏まえ,研究計画の2から4までの作業を進める。 2.「先行研究で論じられている世界の島観光地の実態を日本島嶼部の実態と照り会わせる」:複合的システムである観光の状況を把握できるような指標を引き続き検討する。日本の島嶼部において観光がもたらした変容の分析にコロナ禍の影響を加え、調査対象を再検討する。 3.「事例地域における観光に関連する認識を調べる」:島のイメージなどについて観光産業者と住民や観光者、または住民同士の間に認識の差が生じているか把握する。認識の把握方法として先行研究で利用されている認識スケールを地域の条件に合わせ、広島県内でアンケート調査を実施するとともに観光者についてSNSの書き込みのテキスト分析を行う。 4.「事例地域における自己管理力を測る」:現地調査はコロナ禍とマイクロツーリズムがレジリエンスに与える影響も内容に加え,広島県内の島を中心に実施し,事例地域における観光に関連する認識を調べると同時に事例地域における自己管理力も測る。そのため,住民や観光産業関係者を中心に聞き取り調査を行う。可能であれば,屋久島,奄美大島(鹿児島県)も対象に含める。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により実施できなかった現地調査を実施するために利用する予定である。具体的に奄美大島(鹿児島県)、五島列島(長崎県),屋久島(鹿児島県)それぞれ3泊4日の調査を予定している。
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