2021 Fiscal Year Research-status Report
日本の島嶼部における複合的観光システムのレジリエンスを高める要因の検討
Project/Area Number |
20K12400
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
フンク カロリン 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (70271400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 慶在 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (50782140)
笛吹 理絵 比治山大学, 現代文化学部, 講師 (50850153)
渠 蒙 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 助教 (40910295)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 島観光 / レジリエン / 複合的観光システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の調査は,県内や,瀬戸内海内に限定された。 その中で,本研究者チームで東アジアにおける島に関する研究を整理し,研究協力者Alan A. Lew先生と協著で"Island Studies in East Asia"という投稿論文をまとめた。現在学術雑誌のレビュー中である。本研究の背景となる理論的な枠組みを整理したことが大きな成果である。代表者フンク・カロリンは尾道市瀬戸田町におけるまちづくりに注目し,観光まちづくりのワークショップに参加した。また,指導学生の研究を通じて観光と農業を結びつけるプロジェクト(瀬戸田)や,大衆観光地である宮島における観光まちづくりの取り組みを分析した。分担者Qu Mengはゲストエディターとして琉球大学島嶼地域科学研究所と共同で学位論文特別号Okinawan Journal of Island Studies (OJIS) vol 3 (1) に協力し,国際の島嶼地域の持続的発展に資する学際的研究を推進した。また,広島大学地域の元気応援プロジェクトとして島地域活性化「学芸融合」ドキュメンタリー映画を制作し,この映画作成を通じて地域内に多くのステークホルダーとの連携体制が構築できた。分担者笛吹理恵は自然環境における宿泊を研究対象にした。瀬戸内海の島にあるグランピング施設をデーターベース化すると同時にグランピングに関連の文献を整理した。また、8月から11月にかけて瀬戸内海の島のグランピング施設のオーナーへ聞き取り調査を実施した(百島2件、伯方島1件)。分担者張 慶在は広島県内、特に呉市倉橋島を対象とする観光振興に対し、音戸町漁協組合への聞き取り調査等を行った。コロナ過で観光者への調査が難しく、地域連携の活動を主に行った。具体的には、観光ブランド化事業の支援、音戸高校学生の地域観光活性化授業の支援(講師として)、広島大学学生との交流(3回)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響により,研究全体と現地調査が遅れている。研究のフレームワークについてアドバイスをいただく予定であったAlan A. Lew教授は来日できず,共同調査や研究会の実施が不可能であった。また,国内と大学による移動制限により,他県への調査が可能な時期が限られていた。さらに,研究の対象は島であり,外部からの来訪者について懸念を持つ島も少なくなかったため,現地調査の機会が非常に限られていた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は研究計画の2から5までの作業を進める。 2.「先行研究で論じられている世界の島観光地の実態を日本島嶼部の実態と照り会わせる」:複合的システムである観光の状況を把握できるような指標を引き続き検討する。日本の島嶼部において観光がもたらした変容の分析にコロナ禍の影響を加え、調査対象を再検討する。3.「事例地域における観光に関連する認識を調べる」:島のイメージなどについて観光産業者と住民や観光者、または住民同士の間に認識の差が生じているか把握する。認識の把握方法として先行研究で利用されている認識スケールを地域の条件に合わせ、広島県内でアンケート調査を実施するとともに観光者についてSNSの書き込みのテキスト分析を行う。4.「事例地域における自己管理力を測る」:現地調査はコロナ禍とマイクロツーリズムがレジリエンスに与える影響も内容に加え,事例地域における観光に関連する認識を調べると同時に事例地域における自己管理力も測る。そのため,住民や観光産業関係者を中心に聞き取り調査を行う。5.レジリエンスの能力を高める要因を検討する。 具体的な作業は,文化的側面について,島嶼部のコンテンツツーリズムによる地域再生を検討するため、五島(『ばらかもん』の事例)と対馬(Ghost of Tsushimaの事例)のフィールド調査を行う。また,新型コロナウイルス期間中の農村地域に小規模観光事業におけるレジリエンスの役割や瀬戸内海島地域観光クリエイティブネットワークを調査する。自然的側面について,自然的要因と文化的要因両方含まれる島エコツアーの検討や,瀬戸内海の島におけるグランピング観光と空間の変容について調査する(瀬戸内海各島,奄美大島,屋久島)社会的側面について,民間業者と地域団体が協力する観光まちづくりの可能生を検討する(生口島,宮島)。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により実施できなかった現地調査を実施するために利用する予定である。具体的に奄美大島(鹿児島県)、五島列島(長崎県),屋久島(鹿児島県)それぞれ3泊4日の調査を予定している。
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