2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K12408
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
狩野 朋子 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 准教授 (40552021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郷田 桃代 東京理科大学, 工学部建築学科, 教授 (50242128)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トルコ・ベルガマ / 防災計画 / 公共空間 / 住民ワークショップ / 伝統住居群 / レジリエンス / 観光地 / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度(初年度)は、分担者や協力者との研究体制強化に力点を置き、トルコ・ベルガマの各種災害リスクの解明や公共空間データの収集を行うことを計画していた。しかしコロナ禍で現地への渡航が実現できなかったため、研究計画を次のように一部変更した。 まず、トルコでの現地調査の代わりに、国内で歴史的風致維持向上計画の認定を受けた都市や観光まちづくりを推進している地域を訪問し、公共空間における災害リスク管理方法等に関する情報収集を行った。対象地は、京都、鎌倉、小田原、真鶴などの移動可能圏内の観光地とした。特に真鶴では、地域へのプライドの持ち方、建築資源の活用とその運営方法(ローカルリパブリックの考え方を含む)、居住者と訪問者(観光客を含む)の関係性、コミュニティ活動などについて、有益な事例を参照できた。これらは、地区レベルで防災・減災を推進しようとしているベルガマにおいても、欠かせない取り組みであると思われた。 次に、2020年10月にエーゲ海地震を経験したトルコでは、防災に関する関心が集まっているものの、自治体の体制は頻繁に変更することから、具体的な対策はなかなか実現されていない。ベルガマでも防災協議会がいまだに発足されていないことが研究協力者とのオンライン打ち合わせで判明した。そこで、当初予定していた防災に関する住民教育を、防災協議会を主体として実施することは困難であると判断し、研究体制を組みなおした。具体的には、ベルガマ市役所のみならず、イズミル県の防災担当者も研究協力者に加えて、研究調査過程そのものをイズミルならびにベルガマの自治体教育に役立てていくこととし、そのための体制を構築した。 また、本研究は、先行研究で実施した住民ワークショップで明らかとなった問題の解決を図る継続研究と位置付けており、両研究にかかわる成果(本研究の課題を含む)を、国際会議や論文等に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始当初より、コロナ禍でトルコに渡航できず、さらに現地協力者も緊急事態宣言下で身動きをとることができなかった。そのため、対象地区において、ムフタル(町内会長のような役割をもつ者)に対するヒアリング調査を進めることができず、伝統住居群に居住している住民が懸念している各種災害リスク情報を収集することができなかった。 しかし、その間に実施した国内調査で得た情報は、トルコにおける文化遺産の保全ならびに生業や居住文化の継続を果たすためにも、大いに参考になっている。そのため、国内外を問わず災害とその対策についての情報共有は、今後も積極的に継続して進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に予定していた、ベルガマの伝統住居群における災害リスクの解明に関する調査は、実施方法を次のように変更して2021年度に行うこととしている。 住民へのヒアリング調査は、渡航できない可能性のある申請者に代わり、現地協力者、ベルガマ市役所およびイズミル県防災担当課等がグループを組んで実施することとした。イズミル県の防災担当課を協力者に加えることで、ベルガマが所在するイズミル県においても、防災対策の具体化と問題意識の共有を企図するためである。イズミル県は、2020年10月30日にエーゲ海地震を経験しており、被災後対応や今後の防災・減災計画をどのように進めていくのかが注目されている。本協働体制により、ベルガマでの調査過程を共有できれば、ベルガマ周辺都市にも研究成果を応用できる可能性が高められると考えている。 また、2021年度は、現地で予定していた打ち合わせの代わりに、現地協力者とのオンライン打ち合わせを都度実施して、上述した体制によるヒアリング調査を推進する。その結果を空間情報データ等も利用して整理し、ビジュアル化する方法を検討しながら、公共空間の災害リスクを明らかにする。 なお、ベルガマにおける最新の空間情報データは既に入手できており、分担者と共有している。本データは、公共空間の分析を行うための基礎資料としても非常に重要なデータであり、活用の準備を引き続き進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で、トルコ・ベルガマでの現地調査を実施できなかったため、海外渡航費(2名分)が全額繰り越しとなっている。 本研究は、観光地(とりわけ世界遺産エリア)における災害に強い地域社会の構築を目指しており、そのためには、ベルガマのみならず国内外の災害とその対策についての情報交換を積極的に進めていくことが必須である。よって、引き続き日本国内での情報収集や調査も進める予定である。 また繰り越した予算は、2021年度の現地ヒアリング調査時の予算(協力者への謝金を含む)としても使用する予定である。
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Remarks |
2021年5月現在、webページ更新中
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Research Products
(3 results)