2020 Fiscal Year Research-status Report
Cross-cultural interpretation of local stories based on historical and cultural resources
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20K12410
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
野瀬 元子 大東文化大学, 文学部, 准教授 (60611845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古屋 秀樹 東洋大学, 国際観光学部, 教授 (80252013)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中禅寺湖 / 別荘 / 国際観光 / 避暑 / 日記 / VFR / 明治29年 / 外交官 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究目的のうち、研究実施計画に示していた供給側の情報・コンテンツの充実化の内容として、日光・中禅寺湖地域の地域形成史の解明のため、明治期に当該地域に滞在したドイツ人外交官のこれまで存在が知られていなかった手記他の初出の一次資料を対象とした分析を行った。具体的には、1896(明治29)年の国際観光者の行動や評価を詳細に把握するため、親族間で共有された手紙(日記)に書かれたドイツ語データを分析対象として内容分析を行った。 中禅寺における滞在者の避暑行動に関する記録については、これまで外交官、外交官夫人という肩書の下で残され公表された日記(アーネスト・サトウ日記、ベルギー公使ダヌタン婦人日記)が主たる分析対象となっていた。本研究では、国際観光の萌芽期における中禅寺の外国人滞在者とドイツの親族の間のみで共有されていた、情感豊かな筆致で描かれた私的な避暑生活の記録を対象としたこと、また、記録者の4名のうち、2 名は東京で長女が誕生した夫婦を訪ねた、その母と妹によるVFR(Visiting friends and relatives)であったという点を含め、属性の異なる滞在者4 人の視点による別荘生活の詳細な行動・主観的な評価の機微を把握することができた。 また、中禅寺別荘の建築背景や別荘位置を明らかにするとともに、同時代のドイツの避暑地を舞台とした文献の記述から旅行環境を把握し、萌芽期の日本の国際観光地であった中禅寺の環境と照らし合わせて、その独自の空間特性について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究目的のうち、供給側の情報・コンテンツの充実化を検討する上で必要となる、日光・中禅寺湖地域の地域形成史の解明、明治期に当該地域に滞在したドイツ人外交官のこれまで存在が知られていなかった手記他の歴史資料を対象とした分析を中心に進めた。地域形成史の解明から、その土地らしさや地域性への理解を深めるための視点の提示に計画に沿って取り組むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究成果について考察を深めるとともに、その成果を受け入れ地域の価値「地域性」を認識できる滞在経験の創出、情報発信を補完する試みを今後検討していくことに取り組む予定である。 本研究のもう一つの問題意識である、需要側の傾向把握の必要性の認識のもと、歴史文化資源に対する来訪者評価の分析方法を検討を進める。旅行レビューデータの整理(日英繁韓各言語)について着手して間もない状態である。そのため、引き続きデータの整理、分析に取り組む。
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Causes of Carryover |
パンデミックの発生により、遠隔地への移動を伴う調査活動を延期した。次年度以降に使用予定である。
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