2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K12413
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
佐野 浩祥 東洋大学, 国際観光学部, 教授 (50449310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 雅男 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (20547088)
丸谷 耕太 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (50749356)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 伝統的工芸品 / イノベーション / 創造都市論 |
Outline of Annual Research Achievements |
創造的環境の概念整理のためのデータベース構築を進め、創造的環境の成立要件や分類などを通して理論面での探究を進めた。創造的環境に関連する研究論文を渉猟しつつ、わが国において創造的環境が成立していると考えられる具体的な観光地/地域をリスト化して、事例調査の対象候補地として設定した。本年度はそのリストを参考に、観光地における創造的環境に関する事例調査を実施した。具体的には、大分県日田市小鹿田集落、長崎県波佐見町を調査した。小鹿田集落の伝統工芸品である小鹿田焼は、創造的環境とは一切無縁の、製法や値付けなどを全く変えてこなかった伝統工芸であり、その伝統的な製法が風景として立ち現れており、重要文化的景観として文化庁に認定されている。集落の工房を訪ねた他、文化的景観をくまなく視察した。一方で、長崎県波佐見町の波佐見焼は、産地が疲弊する危機感から、近年では外部からのアイデアを積極的に取り入れながら断続的に新たな動きが起こっていることから、創造的環境が息づいているとの仮定の下、波佐見町役場や製陶会社の方々にインタビュー調査を実施した。その結果、波佐見町内には外部のアイデアを柔軟に取り入れつつ、市民自らが主体的かつ協働的に新たな動きを起こしていけるような創造的環境が複数成立していることが明らかになり、そのような創造的な動きが生み出されるメカニズムや、バックアップ体制について把握することができ、創造的環境の実態に迫ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響で、対面での議論や現地調査が制約されたため、当初予定していた研究計画からはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ対策に万全を期しつつ、当初予定していた研究計画を着実に進めていく。具体的には創造的環境の概念整理および精緻化のためのインタビュー調査と、国内外の事例調査である。事例調査については、オンラインで対応可能な部分についてはそのように対応しつつ、現地調査が必要なケースについては積極的に実施していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で当初の研究計画通りに調査を実施できなかったため、次年度使用額が生じた。昨年度までなかなか進まなかったインタビュー調査や現地調査を実施するため、主として旅費の使用を計画している。
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