2020 Fiscal Year Research-status Report
Proposal of mitigation measures of sediment-related disasters due to heavy rainfalls in tourist site
Project/Area Number |
20K12420
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
鳥居 宣之 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (70294246)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 観光地 / 土砂災害 / 危険度評価 / ソフト対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国では,近年,「これまで経験したことのないような」集中豪雨が各地で発生し,それらに起因した土砂災害により人的・物的被害が発生しており,これら土砂災害による人的被害の軽減は,我が国の防災分野における最重要課題の1つであるといえる.現在,全国の9割を超える市町村に52万箇所もの土砂災害危険箇所が分布し,多くの人々が土砂災害の危険と常に隣り合わせでの生活を余儀なくされている.また,山麓に位置する観光地や山間部の観光地などでは,観光地域内に土砂災害警戒区域が設定されており,豪雨時には土砂災害を被る可能性が高いといえ,このような観光地は日本全国に多数分布しているものと思われる.観光地を有する地域や自治体にとって,土砂災害による人的被害の軽減を図るためには,居住者のみならず非居住者である観光客にも配慮した土砂災害対策が必要不可欠である. 本研究課題では,土砂災害のソフト対策に着目し,観光地における豪雨に起因する土砂災害対策として,まず,当該地区で発生しうる土砂災害危険度の定量的評価し,つぎに想定された土砂災害に対するソフト対策の現状把握とその課題抽出し,これら課題の解決策を考慮に入れた土砂災害の被害軽減方策(危険度認知,災害情報伝達ならびに避難誘導)の提案を行うことを最終目的としている. 初年度の2020年度では,神戸市内の観光地を対象に当該地区で発生しうる土砂災害危険度の定量的評価を試みた.具体的には,兵庫県が提供している詳細な数値標高モデル(DEM)ならびに対象地区の過去の降雨特性を考慮した降雨波形(過去の解析雨量データを自己組織化マップ(SOM)で分析)等を入力データとして,研究代表者がこれまで提案してきた表層崩壊危険度評価手法を用いて,降雨の違いと表層崩壊の発生箇所の関係を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
表層崩壊危険度評価手法の入力データとして,詳細な詳細な数値標高モデル(DEM)ならびに当該地区の降雨特性を考慮した入力降雨波形の作成を行うことはできたが,当初予定していた現地調査ならびに採取した試料の各種土質試験による地盤定数の把握は,新型コロナウイルス感染拡大予防に伴う数回の緊急事態宣言の発令等により行うことができておらず,既往の文献の物性値を用いているのが現状である. 土砂災害危険度の定量的評価精度の向上のためにも,現地調査ならびに採取した試料の各種土質試験による地盤定数の把握が必要であるため,現段階での進捗状況を「やや遅れている」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の2021年度は,現地調査ならびに採取した試料の各種土質試験による地盤定数の把握を行うとともに,ハード対策工の効果を考慮に入れることで,当該地区の土砂災害危険度の定量的評価を行う予定である.さらに,危険度評価結果から想定される土砂災害に対して,どのようなソフト対策が現状で行われているかを調べるため,観光協会,各種観光施設,自治体の関連部局を対象としたアンケート調査を実施し,アンケート調査の分析結果から,想定される土砂災害対策の課題を抽出するとともに,観光客を対象としたインタビュー調査を実施して,現状のソフト対策の課題を特定する予定である.また,他の観光地でも同様の手法を用いて検討を行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初予定していた現地調査ならびに採取した試料の各種土質試験による地盤定数の把握は,新型コロナウイルス感染拡大予防に伴う数回の緊急事態宣言の発令等により行うことができなかったため,2021年度に実施予定であり,実施に伴い研究費を執行予定である.
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