2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on behavioral factors of repeated foreign visitors to Japan
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20K12423
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
鎌田 裕美 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (00456287)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 訪日観光客 / リピーター / 新型コロナウィルス / 再訪意向 / 顧客エンゲージメント / ノベルティ・シーキング |
Outline of Annual Research Achievements |
訪日外国人観光客のリピーターを対象に研究をしているが、新型コロナウィルスの影響で日本は観光客を受け入れていない。そのため、顧客エンゲージメント研究を基に、コロナ禍で旅行できない状況でのエンゲージメントに着目し、リピーターの現在のエンゲージメント行動および訪日意向を調査して分析した。本研究では、マーケティングの研究者とともに議論、調査分析を行った、 顧客エンゲージメントは、先行研究において、認知的、感情的、行動的要素で分類されている。本研究では行動的要素に着目し、訪日できない期間でどの程度エンゲージメントが高まっているのか、また国境再開後に訪日意向があるかを調査した。さらに、観光分野のリピーター研究で研究されてきたノベルティ・シーキング(新規性追求)も導入し、エンゲージメントとの関係を調査した。対象は、台湾およびタイの訪日経験者と未経験者である。その結果、エンゲージメントの効果については、来日経験の有無を問わず、プラスの効果が見られた。これは先行研究でも明らかになっている通りである。同時に、ノベルティ・シーキングもプラスの効果が見られた。つまり、新しいことを体験することが好きな人は、海外旅行の意向が強いと言える。リピーターという点では、訪問回数が増えるほど、再訪はするが、エンゲージメント行動との結びつきが弱くなることが明らかになった。エンゲージメントを高めることだけでなく、新規性追求の欲求を刺激し続けることも重要だと言える。 ただし、課題として、再訪やノベルティ・シーキングの定義が異なる可能性が考えられる。Kamata(2022)で示している通り、同じ場所への再訪だとしても、観光客自身は時期や同行者が異なれば再訪と考えていない可能性がある。ノベルティ・シーキングでは、新規の訪問先という意味と、そこでの新しい経験という意味がある可能性がある。これらの点は、次年度での研究課題とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、訪日経験者を対象にアンケート調査を行い、再訪意向と行動要因を調査する予定であった。しかし、新型コロナウィルスの影響により訪日観光客が訪問できない状況が続いている。そのため、訪日できない状況下でのエンゲージメントとノベルティ・シーキングについて調査分析を行った。本研究の遂行にあたっては、マーケティングの研究者とともに議論、調査分析を行った。本研究の結果は、訪日観光客受入再開に向けて、とくに観光地の担当者がどのようにコミュニケーションをすればよいか、またノベルティ・シーキングに基づくコンテンツ開発を検討するための基礎的な情報となると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べた通り、再訪やノベルティ・シーキングの定義が異なる可能性が考えられる。この点について、より深堀をし、訪日観光客のリピーターに対する戦略の基礎となる研究を行う。具体的には、訪日経験者に対する調査を行う。調査方法はアンケート調査またはオンラインのインタビュー調査を検討している。 最終的に、顧客エンゲージメントとノベルティ・シーキングの関係を明らかにすることと、リピーターが考える再訪やノベルティ・シーキングの定義について明らかにすることを試みる。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、これまでの訪日経験者に関する調査研究をベースにして、訪日経験者を対象にアンケート調査を行う予定であった。しかしながら、新型コロナウィルスの影響により日本への訪問ができない状況が続いているため、顧客エンゲージメントとノベルティ・シーキングに基づくアンケート調査と分析を行った。そのため、当初の計画通りにならなかった。 次年度の使用額については、令和4年度助成金と併せて訪日経験者を対象に調査を行う。具体的には、引き続き、顧客エンゲージメントとノベルティ・シーキングの研究を行う。とくに、訪日経験者の再訪やノベルティ・シーキングの定義について調査研究を行う予定である。
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Research Products
(2 results)