2020 Fiscal Year Research-status Report
観光みやげにおける贈答コミュニケーションに関する研究
Project/Area Number |
20K12431
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
鈴木 涼太郎 獨協大学, 外国語学部, 教授 (70512896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 振晩 帝京大学, 経済学部, 教授 (60554160)
花井 友美 帝京大学, 経済学部, 准教授 (70634525)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | おみやげ / 贈答コミュニケーション / 真正性 / 儀礼的倒錯性 / 質的調査 / 量的調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
観光客が自らの記念品として、あるいは知人への贈答品として購入するおみやげは、現代観光の重要な構成要素である。みやげ品の製造/販売によって地域への経済効果が期待され、その国内消費額は約4兆円と訪日外国人旅行者の国内消費では3分の1を占めている。しかし観光研究においておみやげは、その消費額の高さや観光客誰もが購入する身近な存在であるにもかかわらず、研究の蓄積が乏しい。 本研究の目的は、観光みやげにおける贈答コミュニケーションの基本原理を明らかにすることによって、国内外のおみやげ/スーベニア研究への理論的貢献を目指すとともに、観光みやげの生産や流通、販売に関わる諸事業者や地域への示唆を得ることである。具体的には、質的/量的双方の調査を通じ、①誰と行く(個人、団体、家族、友人)、②どのような目的の旅行の際に(休暇、業務出張、親族・友人訪問)、③誰に(家族、友人、同僚)おみやげを贈るかによって、④観光みやげのいかなる側面(真正性、ギフト性、儀礼的倒錯性)が重視されているのかを考察することを目指している。 2020年度は、まず関連する既存研究の理論を整理し、本研究の課題、方法論をより厳密なものにするために国内外の文献をレビューし、研究代表者と分担者間の情報共有を行った。これらの作業を通じて得られた知見の一部は、複数の書籍や学会発表の形で公表されている。それらを通じて明らかになったのは、従来の典型的なおみやげだけでなく、おみやげの特定のフォーマットが地域を跨いで移動する状況や、スマートフォンやSNSによる旅行経験の記録とおみやげが取り結ぶ新たな関係のありかたなど、多様で複合的なおみやげの現代的形態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、質問紙調査の調査項目を策定するための基礎調査として、観光みやげの生産と販売現場のフィールド調査、みやげ購入経験者へのインタビュー調査を行う予定であった。しかし新型コロナウィルスの感染拡大によってフィールド調査の実施が困難となり、大幅な予定の変更を余儀なくされた。そのため、とくに年度の前半は、研究計画が大幅に遅れることになった。しかし年度後半は、対面での研究会は1回のみであったものの、オンラインでの研究会を複数回行い、上記の目的の達成を目指した。また、フィールド調査の代替手段として自由記述の質問紙調査などを行い、2021年度に実施するプレテストのための質問項目の検討を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、当初の計画通りプレテストを行い、その結果をもとに本調査を行う予定である。また2020年度に実施ができなかったフィールド調査を可能な範囲でプレテストと同時並行的に行い、質問項目策定を遅滞なく進める。また、フィールド調査の不足を補うために、プレテストの標本数を増やしつつ複数回行うことで、当初の目標の達成に努める予定である。研究会についても、2020年度と同様、対面だけではなくオンラインでの打ち合わせを行うことで、全体の研究計画が円滑に進められるように工夫する。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウィルスの感染拡大によって、当初の研究していたフィールド調査が困難となったため、旅費を中心に研究費の未使用が発生した。フィールド調査については、2021年度の研究計画に組み込みながら行う予定である。
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