2021 Fiscal Year Research-status Report
隣接国間の相互理解に資する観光関連施設の多言語対応ー北部九州における韓国語対応ー
Project/Area Number |
20K12446
|
Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
長谷川 由起子 九州産業大学, 地域共創学部, 教授 (40330790)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丁 仁京 福岡大学, 公私立大学の部局等, 講師 (50759264)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 北部九州 / 観光施設 / 朝鮮半島 / 多言語対応 / 韓国語解説 / 有田町 / 有田焼 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は朝鮮半島と歴史的、文化的関係の深い北部九州の観光施設における多言語対応の状況を韓国語を中心に現状把握し、課題を発見・整理し、改善策を提案しようとするものである。2021年度までに福岡市、対馬市、壱岐市、唐津市、有田町、伊万里市、長崎市に所在する該当観光地・施設の現地観察および資料収集を進め、地元の関係者へのインタビューを通じて多言語対応に関する背景や実情を聞取り、対馬市、有田町、長崎市について論文および口頭発表を行った。 現地調査を重ねる中で浮かび上がってきたのは、施設を管轄する自治体や管理者によって多言語対応の様相にはばらつきがあり、韓国からの来訪客の多い観光施設においてはそのニーズに応えるため韓国語による解説等の対応がおおむねなされているものの、日韓の間で評価が分かれる歴史的事件・事象と関連する施設においては、韓国語解説が充実している場合とほとんど韓国語対応がない場合とに分かれるという点である。現場で対応する担当者、関係者にも、友好的な方向に積極的に取り組もうという態度と、敢えて非対応とするか、要望があればパンフレット等で部分的に対応するという態度とに分かれている。 科学的歴史研究に基づく客観的な記述と、非専門家であり基本的に娯楽と友好交流を目的とする訪日観光客に対する解説や応対とは必ずしも一致しえないうえに、日韓の場合、歴史認識の違いが指摘される現状の中で、現実的にいかなる方向を目指すことが望ましいのか、それを誰がどう定めるのかを、今後議論していく必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の開始がコロナ感染症対策実施時期と重なったため、国外での調査は不可であったし、県境を越える調査も限られた時期に行うほかなかった。また、当初計画していた訪日韓国人観光客を対象とする調査をまったく行うことができていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
長崎、福岡、佐賀の各重点地域について調査分析を進めるのと並行して、明治日本の産業革命遺産を中心とする近代、文禄・慶長の役から朝鮮通信使の近世といった時代別の観光資源と、韓国語を中心とする多言語対応状況を整理分析し、専門家の助力を得ながら課題とその解決策提案を行っていく計画である。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍による行動制限が予想以上に長引き、現地調査計画が先延ばしになってきたため次年度使用額が生じた。 2022年5月以降は国内の調査に支障がなくなり、北部九州の追加調査と東京、京都・大坂、北海道、沖縄を含む国内の関連地域の調査を進める。また、下半期には国外調査も可能となる可能性があるため、朝鮮半島南部の調査も進めたいと考えている。
|
Research Products
(2 results)