2020 Fiscal Year Research-status Report
日本の観光政策の変遷に関する学際的・実証的研究 ー戦前期の観光関連組織に着目して
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20K12449
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Research Institution | Japan Travel Bureau Foundation |
Principal Investigator |
福永 香織 公益財団法人日本交通公社(観光政策研究部、観光地域研究部、観光文化情報センター), 観光政策研究部, 主任研究員 (10866718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千住 一 立教大学, 観光学部, 教授 (50409546)
荒山 正彦 関西学院大学, 文学部, 教授 (70263184)
山口 誠 獨協大学, 外国語学部, 教授 (80351493)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 観光政策 / 喜賓会 / ジャパン・ツーリスト・ビューロー / 国際観光局 / 茶代 / 旅行案内書 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は各担当者の役割分担を確認しつつ、大正から戦前期にかけての観光政策や観光推進組織の整理を進め、4回の研究会を開催して情報共有・ディスカッション等をおこなった。具体的な研究の内容は以下の通りである。 (1)ジャパン・ツーリスト・ビューローが設立された背景にある各省庁の観光に対する関心の高まりや、ビューロー設立に向けた鉄道院や木下淑夫の動きを整理・分析した。(2)本研究で設定している「外客誘致政策に対する観光事業者の理解不足やホテル不足、特定地域や特定時期への観光客の集中、災害発生後の復興といったように、現代と共通する課題がいくつも発生している。こうした様々な課題に対して、どういった組織がどのような対応策を講じたのか」という問いに対して、古くから宿泊者が宿泊費とは別に旅館等に支払っていた「茶代」に着目。先行研究を概観した上で、「茶代」を取り巻く当時の課題、解決方法の模索に向けて各主体が果たした役割等を整理・分析した。(3)新型コロナウイルスの感染拡大をふまえ、1918年から流行したスペイン風邪(流行性感冒)を取り巻く内務省の政策や観光に関わる政策について整理した。(4)旅行案内書の変遷から国内の旅行クラブ組織の成立過程などを整理・分析した。(5)井上万寿蔵の『観光読本』『観光教室』等を通じた同氏の観光概念や、戦前と戦後の観光政策を整理・分析した。(6)国際観光局の設立背景や既存組織との連続性等について整理・分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により、ヒアリングや資料収集を目的とした出張ができなかったが、戦前期の資料を所蔵する近隣施設やデジタルアーカイブ等を活用した資料収集やオンラインでの研究会などを通して研究をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も引き続き各担当者が研究を進め、定期的な研究会の開催を通じて、進捗状況の共有やディスカッションをおこなうものとする。日本における観光政策の位置づけの変化、それを取り巻く各主体の動向などを、喜賓会、ビューロー、国際観光局を中心にしつつ多様な人物、組織にも視野を広げ、研究していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で研究会がオンラインになり、出張に行くこともままらなかった。 2021年度は、主に資料費、出張旅費、学会参加費などに活用予定。
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Research Products
(8 results)