2021 Fiscal Year Research-status Report
過渡期的発展段階における男児選好の構造的要因についての研究
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20K12463
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
佐野 麻由子 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (00585416)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 男児選好 / 階層 / 社会的地位の上昇志向 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、文化的進化論を批判的に援用し、階層とジェンダー平等との関係性という点から過渡期的発展段階にある国における男児選好の構造的要因について明らかにすることにある。具体的には、出生時性比の偏重が顕在化しているネパールの主要3都市とその周辺地域を調査対象とし、質的調査(聞き取り)および量的調査(質問紙調査)を通して、階層関係(経済的、社会的資源の多寡)と男児選好、ジェンダーの平等との関係を明らかにし、過渡期的発展段階にある国における男児選好の構造的要因について明らかにすることとした。 本年度は、コロナ禍の影響もあり、計画していたネパールでの現地調査を実施することができなかった。そこで、国内で次の研究に取り組んだ。 (1)これまでの調査方法や分析枠組みの課題を洗い出すため、本研究で経年変化を探るために用いる予定の2016~2017年にJPSP科研費(若手研究B)「ネパールの男児選好にみるジェンダー、カースト・民族、機能分化的社会関係」(課題番号15K117189)で実施した調査データの再分析を行った。従来はクロス分析を主としてきたが、回帰分析を行った結果、息子の必要性については、上層中産階級と下層中産階級、社会的地位の上昇志向の低いグループ、低収入グループが正の相関があり、土地所有面積が1ヘクタール以下の人においては負の相関があることを確認することができた。 (2)上記知見に依拠して論文「男児選好にみるネパールの家族の変容」の執筆を行った。本論文は、田村慶子・佐野麻由子編『変容するアジアの家族』明石書店(2022年3月の出版)に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究の遅れの最大の理由は、コロナ禍の影響により現地への渡航・国内での移動が困難になったことが挙げられる。ネパールは、「水際対策強化に係る新たな措置(7)」(令和3年1月13日)において、全ての国・地域からの新規入国の一時停止を決定した。5月18日には日本政府がネパールを「インドで初めて確認された変異株 B.1.617 指定国・地域」に指定した。また、調査対象地としていたカトマンドゥ盆地では、断続的に行動規制が課されていたこともあり、8~9月に予定していた現地への実渡航も延期せざるを得なくなった。 現地および日本国内のコロナ禍の状況を鑑みて、今年度は日本国内でも実施可能な作業に徹した。
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Strategy for Future Research Activity |
3月10日付通知において、ネパール入国管理局は、入国の条件を一部緩和させた。日本でのコロナの感染状況も鑑み、ネパールへの渡航が可能であれば現地調査を実施する予定である。研究協力者とも頻繁に連絡を取り、現地の情報収集に努めている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、計画していた現地調査を実施することができなかったため、当初使用予定だった渡航費等において残額が生じた。コロナ禍がある程度収束し渡航が可能になった際に、遅れた研究を取り戻すため現地を複数回訪れる際の旅費等に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)