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2022 Fiscal Year Research-status Report

女性のからだに関する翻訳テクストの分析と受容研究

Research Project

Project/Area Number 20K12464
Research InstitutionTohoku Gakuin University

Principal Investigator

古川 弘子  東北学院大学, 文学部, 教授 (70634939)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2025-03-31
Keywords翻訳学 / 翻訳研究 / ジェンダー / Our Bodies, Ourselves / からだ・私たち自身 / 女のからだ / ボストン女の健康の本集団 / 言語使用
Outline of Annual Research Achievements

2022年度は、以下5点を行った。まず、昨年度に行った『からだ・私たち自身』(『からだ・私たち自身』日本語版翻訳グループ訳、1988)の翻訳者・荻野美穂氏のインタビューを受けて、より踏み込んだ読者受容研究を行うためにアンケート調査をした。2点目に、1984年版Our Bodies, Ourselvesの日本語訳『からだ・私たち自身』と、1970年版と1973年版Our Bodies, Ourselvesをもとにした日本語版『女のからだ』(秋山・桑原・山田訳、1975)の2つのテクストに関して、当時の読者受容、翻訳者の特徴、翻訳の背景と意図、翻訳プロセス、出版当時の日本と世界のフェミニズムをめぐる動きなどについての文献調査をした。3点目に、『女のからだ』と原書を定量分析手法によって比較分析し、どのような翻訳方略が取られたか、その結果どのような効果が生み出されたかを探った。4点目に、日本と海外でのボディ・スタディーズ、翻訳学、ジェンダーに関する研究についての調査を行った。そして5点目に、海外でのジェンダーに関わる言語変革の事例についての文献調査を行った。
上記の研究のうち、『からだ・私たち自身』の受容研究については、日本通訳翻訳学会第23回会年次大会で「翻訳が提案した女性器名称の可能性を探る:『からだ・私たち自身』翻訳の意図と読者受容から」と題して口頭発表を行うことができた。他の研究成果については、特に『女のからだ』の翻訳の背景、翻訳者とその意図、読者受容、テクスト分析については、論文執筆段階まで進めることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2022年度には、『からだ・私たち自身』の翻訳校閲者・荻野美穂氏へのインタビューを踏まえて、より踏み込んだ読者受容研究を行った。その研究成果は、日本通訳翻訳学会第23回会年次大会で口頭発表を行うことができた。
『からだ・私たち自身』の読者受容については、国立国会図書館等にて出版当時の全国紙、地方紙、雑誌などの文献調査を行った。さらに当時のフェミニスト運動、フェミニスト関連文献についての研究論文や雑誌記事、講演会記録、書籍等についての調査も行い、当時の日本と世界におけるフェミニズム、翻訳者をめぐる状況、翻訳の意図や背景を知るための資料収集を行った。
『女のからだ』の読者受容については、国立国会図書館等にて出版当時の全国紙や地方紙、雑誌、ミニコミ誌などの文献調査を行った。また、翻訳に至った経緯や翻訳者について、当時の言説や当事者の手記を通して探ることができた。さらには、当時の日本におけるウーマン・リブの運動の広がりや、国際婦人年に関連する国内外での社会の動きや法制度についての資料収集を通して、出版の背景について多角的に調査を行うことができた。
『女のからだ』と1970年版と1973年版Our Bodies, Ourselvesとの比較分析については、現在でも入手可能な章を定性分析手法により比較した結果、フェミニスト翻訳の方略を用いて訳されていることが確認できた。
海外のボディ・スタディーズ、翻訳学、ジェンダーに関する研究の調査については、文献調査に加えて、国際学会にオンライン参加し、特に現代アジア諸国での身体表象とその背景にあるジェンダー・イデオロギーなどについての知見を得ることができた。また、海外での言語変革に関する調査では、スウェーデン語の三人称単数代名詞henなどについて文献調査を行った。

Strategy for Future Research Activity

今後は、以下3点を行いたい。まず、これまで行ってきたOur Bodies, Ourselvesと『女のからだ』、『からだ・私たち自身』の比較分析をさらに進めたい。加えて、2つの日本語テクスト『女のからだ』と『からだ・私たち自身』の翻訳の意図や翻訳の背景、読者受容、当時の時代背景について、より広範な資料を集め、理解を深めていきたい。これらについての論文を発表したいと考えている。
さらには、 女性のからだに関する他のテクストの日本語訳を題材とし、テクスト分析や読者受容研究などを行いたい。これらの研究を通して、女性のからだがどのように日本語に訳されてきたのかを探っていきたい。

Causes of Carryover

2022年度に参加した国際学会The Association for Asian Studies 2023 Annual Conference(ボストン、米国)はオンラインでも開催されたため、渡米のための旅費と宿泊費が不要となった。また、本研究課題の初年度に採択されていた国際学会(イギリス)での発表が、新型コロナ感染症の影響で中止になったため、この未使用分が現在も残っている。これらの理由から、次年度使用分が生じている。新型コロナ感染症による制限も緩和されてきているので、残金は研究発表や資料収集のための旅費や、文献研究のための物品費などに充てたい。

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 「翻訳が提案した女性器名称の可能性を探る:『からだ・私たち自身』翻訳の意図と読者受容から」2022

    • Author(s)
      古川弘子
    • Organizer
      日本通訳翻訳学会第23回会年次大会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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